人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記205

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(人名はすべて仮名です)
・4月28日(火)雨のち曇り
「早朝から採血されて二度寝、明日は祝日なので振り替えで今日シーツ交換があるから眠い目をこすりながらシーツをはがしていると冬村さんが、寝てると思ったら起きてたのか。予報通りに降りましたねと、朝食中にますます雨脚は強くなり、新しいシーツ交換、血圧や脈拍も先週から患者が朝の会の前までに各自自分で測定することになり、朝寝する間もなく朝の会。なにしろ四人増員、松本さん退院だから挨拶も大変だ。松本さんをエレベーター前でみんなで万歳三唱で送っていると、第三病棟からさらに一人、初老(中年?)の男性患者で佐藤さんという人が移ってきた。頼むからこれ以上かき回さないでくれよ、と勝浦くんが愚痴るが、さすがにこれだけ一度に入れ替わると病棟内が実に落ち着かない」

「10時から全体会、患者会代表の冬村さんがてきぱきと各種当番の割り振りを決める。冬村さんは明後日退院だから心残りを残したくないのだろう。昼食までは少し横になれる。昼食はチキンカレー。週に二回もカレーとは珍しい。昼食後、自分の注文の煙草と渥美さんに頼まれた菓子パン買いにコンビニへ。午後は予告なしに学習プログラムがあり、ビデオ学習でアルコール依存症のドキュメンタリーを観せられる。三時半の開錠待って一番風呂、四時半には自助グループ外出参加者への早目の夕食が配膳される。元々山崎さん、冬村さん、佐伯で行く予定が山崎さんは検査が入り、朝の会で坂部、三田さん、滝口さんも行くことになったのだ。医師に言われたら断れない、と滝口さん」

「行き先は相模大野AA。まだ六時少し前に着く。これだけの混雑に巻きこまれるのは久しぶりだ。渥美さんに借りて着てきた派手な紫色のジャンパーがはぐれない目印になる。時間があるので女性二人は衣料品店街へ、男三人は新刊書店へ。マルカム・ラウリー『火山の下』新訳版見つけ購入。相模大野AAは20人ほどの集まりだった。帰りは電車とバスの乗り継ぎがギリギリなので坂部は先をひょいひょい行き、三田さんを冬村さんと両脇を持ち上げて急ぎ足ではこび、滝口さんは荷物持ち。滝口さんをAAで彼女が名乗った仮名でからかう。愛犬の名だそうだ。ターミナルに着くと待っているはずのバスがいないので焦ったが、到着遅れでなんとか乗り、遠い日影橋停留所から病院まで夜道をとぼとぼ歩く」