人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記225

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(人名はすべて仮名です)
・5月13日(木)晴れ
(前回より続く)
「学習プログラムはもう一巡しているので、負担になるようなら退院までは休んでよいと言われる。薬は四週間分まで出せるので、飲み切る前に元々通っていた地元クリニックへの申し送り書は通院予約時に先方に持参するように、と指示される。では、ありがとうございました、と出ようとすると、奥の席にいた婦長からまた絡まれる。佐伯さんは退院後は断酒なの節酒なの?酒歴発表で話した通りです、授業で習った通り一日断酒を続けます」

自助グループはどうするの?まだ決めていません。退院後に調べます。あとなんでしたっけ?通院と抗酒剤、これは双極性障害ともセットですから、きっちり通って服薬します。予想通り半年で戻ってくるか期待してください。期待してないわよ、という婦長の声を背に、ナースステーションを出てくる」

20日に決まったのは安心半分、失望半分だった。勝浦くんには悪いがそれこそ明日・明後日にでも出られれば出たかった。一方、急いで退院することの不安もあった。勝浦くんと同日の17日という話も出たが、それなら20日でいいです、と言ったのは同時退院なんてかっこ悪いからだ。しかも滝口さんがわれわれの退院を車で迎えにきてくれるつもりで、町田駅からは勝浦くんとは別々の路線で一本だから勝浦くんと滝口さんは三人で退院祝いの食事を計画しているという。余計なお世話だ。退院の手続きが済んだら入院中知りあった誰とも交友関係を持とうとは思わない。中里さんに喫煙室で、滝口さんが佐伯さんと勝浦さんを迎えに来る、って楽しそうに言ってたわ。かっこ悪いから別の日に退院するよ。やっぱりAB型だわ、と笑いながら、中里さん」

「携帯電話を出してもらいクリニックに退院予定日を伝え、退院後の通院予約を取る。5月28日(金)10:15~になり、診察中の先生に看護婦から伝えてもらう。これで処方は28日朝の服薬分までになるだろう。―昼食はカレーうどん。新着メールなしだし滝口さんに退院日決定を知らせる必要もないはずだ。彼らには一緒に行かないと断ってある。ひとりで入院してきたのだから退院する時もひとりでいい。退院して待っているのはひとりの生活で、それが基本的な生活条件なのだから入院中の集団生活を引きずるわけにはいかない」
(続く)