人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記204

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(人名はすべて仮名です)
・4月27日(火)曇りのち雨
(前回から続く)
「今日この病棟に移ってきた四人は本来ならこの病棟に来るべきではないワケありの人たちだった。篠田くんは統合失調症で二年間の長期入院を宣告されているから第一病棟に行くべきだし、以前から図書室に来ているのをよく見かけた工藤くんは退院時期未定の鬱病で、初老の吉川さんは対人恐怖症が主症状というが根幹は統合失調症だろう。おそらく強い妄想の世界に住んでいる。ありのままの現実を見ている目をしていない。20代初めから一、二年ごとに入退院してきて、今回は半年くらいの入院になるらしいから状態としてはほぼ慢性化、障害等級なら一級相当だろう」

「以上三人は待機および要介護病棟である第三病棟から本来は一般精神科である第一病棟に移るべきなのだが、第三病棟は新入患者が次々と入ってくるし、第一病棟は飽和状態なので、基本的にアルコール科の学習入院で三か月単位で退院していき新陳代謝のいい、つまりそれだけ流動的に空き部屋もある第二病棟に押し出されてきてしまったことになる。軽い症状ならお照さん、清水くん、勝浦くんのように二、三か月の休息入院で便宜的に第二病棟で短期入院して退院していくのもありだろうが、半年を越えるのなら早く第一病棟で落ち着けた方がいい」

「もうひとり、永石さんの場合は特殊な事情で、松本さんから聞いたのだが松本さんも篠田くんから聞いたのか、松本さん自身交通事故の後遺症で第三病棟が長かったから松本さん本人が永石さんから聞いたのか、もう切羽詰まった状態らしい。一応アルコール科入院だが肝臓癌がステージ4寸前で、もう学習プログラムも免除されている。検査と強制断酒のために入院しているのと、この病院を拠点にして、効果があれば抗癌治療可能な他の病院の専門科に通院するだけということだ」

「夜は、やはり松本さんの退院を明日に控えて、この二か月いろいろあったよなあ、そうですねえ、という話になる。清水くんのベッドが空いたので今日の午後から松本さんは吉川さんと同室なのだが、初老に見えてまだ44歳の彼は、クリスチャンだっていうから佐伯くんの名前出したら知ってたよ、と松本さんニヤニヤする。本人に訊くと同じ母教会員だった。佐伯長老のご長男の和人さんですか!まあね。これには参った」