人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記198

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(人名はすべて仮名です)
・4月24日(土)晴れ
「体温35.8、脈拍72、血圧(上)99(下)66、体重・前日同。今日の出来事は1.金田さんの退院、2.近藤さん突然第三病棟に移室、3.金子さん=アルコール科で初老男性が第三病棟から第二病棟の一床部屋に移室、4.降谷さんの『奇行』(言動ともに)、5.三田さん事件と中里さん・梅崎さん・勝浦くんの談話・証言、などで談話には第三病棟に移室した羽田有紗の話題も含む。渥美さんも松本さんも帰宅外泊だし尾崎さん・三田さんも半日外出で昼食時には数人しか病棟にいない。こりゃまともな掃除にならないな、と勝浦くんと話し、古株の山崎さんに相談、今日は椅子上げなし、ブラシもなし、モップだけで済ませることになる」

「準備の音楽は飛ばしてラジオ体操から始め、掃除機だけはいつもと同じ手間がかかったが大幅に手抜きして済ませる。1.金田さんの退院、女性たちは病院の玄関まで見送る。男性患者はエレベーター前まで。2.土日はプログラムがないので例によって大半は朝の会の後、週末帰宅外泊。昼食のワゴンを下げようとすると近藤さんの手つかずの盆がある。近藤さんは第三病棟に移りました、と看護婦に言われてワゴンをエレベーター前に置くが、釈然としない。梅崎さんの目撃証言によると、お金の自己管理を許されていない近藤さんは誰かの付き添いを条件にお金を引き出したが、一人で出て行ったらしい。第三病棟に戻された原因はそれだろうが、それだけか?…3.怪老人金子」

「総白髪で一見人が好く物腰が低い。アル中病棟入院はこれで八回目という。坂部とは違う類の抜け目なく狡猾なタイプ。物腰が低いのは年季の入った演技だ。明日以降、本格的には月曜以降から退院ラッシュとそれに伴う人間関係の変動があるだろう。4.降谷さんの話は長くなるので後述。5.女性トイレで三田さんが助けを求めるのを中里さんが発見、太っているのでお尻が拭けないという。三田さんはウォシュレットを使ったことがないというので梅崎さんが教えてあげたそうだ。やみつきになるわあ、と喜んで出てくる。昨日までは拭けたのに、お菓子の食べ過ぎかしらと、三田さんは部屋から段ボール一箱分のお菓子を出してくる。冷蔵庫にもプリンやゼリーが10個以上ある。見つかるとやばいですよ。どうしましょう。結局みんなで証拠隠滅する」(続く)