人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アンドレ・ジッド(13)ジッドとジャンル意識(続)

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前回は、アンドレ・ジッド(1869~1951)の小説以外の著作年表を掲載しただけで紙幅が尽きました。未完成戯曲は省略し、没後にはリルケ、クルティウス、ヴァレリーとの往復書簡が刊行されました。注目はやはりヴァレリーで、ジッドより二歳年下ながらマラルメ門下でも、後にはフランス文壇でも最大のライヴァルでした。ジッドは日記にヴァレリーの訃報を記し、あいつは生涯おれの精確な批判者だった、と心情を吐露しています。ヴァレリーは詩人ですがジッドは小説家で、芸術的にもジッドにはヴァレリーへの羨望がありました。

著作年譜からジャンルごとにさらに分類すると、

[戯曲]
1901年(32歳)『カンドオル王』・08年(39歳)『バテシバ』・31年(62歳)『エディプ』・39年(70歳)『十三本目の木』・45年(76歳)『一般の利益』・47年(78歳)『審判』(カフカ原作)・49年(80歳)『法王庁の抜穴』

[文学批評]
1903年(34歳)『プレテクスト』・05年(36歳)『ワイルド論』・11年(42歳)『続プレテクスト』・23年(54歳)『ドストエフスキー』・24年(55歳)『文芸餘話』・29年(60歳)『モンテーニュ論』・32年(63歳)『ゲーテ』・41年(72歳)『アンリ・ミショーの発見』・48年(79歳)『アントナン・アルトー

[紀行]
1906年(36歳)『アミンタス』・27年(58歳)『コンゴ紀行』・36年(67歳)『ソヴェト旅行記

[自伝・告白]
1911年(42歳)『コリドン』・20年(51歳)『一粒の麦もし死なずば』

[創作日記]
1926(57歳)『贋金つかいの日記』

[時事論集]
1928年(59歳)『チャド湖より帰る』・31年(62歳)『偏見なき精神』・37年(68歳)『ソヴェト旅行記修正』・43年(74歳)『架空会見記』・50年(81歳)『行動の文学』

[日記]
1939年(70歳)『1889―1939年』・46年(77歳)『1939―1942年』・50年(81歳)『1942―1949年』・51年(没後)『秘められた日記』

[拾遺文集]
・49年(80歳)『秋の随想』・52年(没後)『かくあれかし』

1926年の『贋金つかい』を境に、ジッドはエッセイに仕事の重点を移します。