クソったれ!とハローキティことキティ・ホワイトはドレッシング・ルームに戻るなり悪態をつきました。ミミィ・ホワイトは入れ替わりに接客に出るところでしたが、双子の姉のアバズレぶりを恥じる一方で、外見も耳のリボンが右か左かでしか見分けがつかないほどですから、多少は大げさなくらいにキャラクターの差をアピールする方がいいのかな、と思いました。私たちも生まれて40年を越えたんだもの、いつまで経っても見分けのつかない双子の姉妹じゃ恥ずかしいような気がするわ。
じゃあ行くわね、と服の肩ひもを直しながらミミィが振り返ると、双子の姉は脱衣カゴを持って踊っていました。何してるのキティ?とミミィが呆気にとられて裏声をひっくり返すと、わかんないの?とハローキティ。ドジョウすくいよ。ドジョウすくい?お客におそわったのよ、さっき私下品なこと言ったでしょ?ああいう風にかましておいて、すぐさまこうやってカゴのたぐいを持って踊るんですって。はあ……それで、どうなるの?相手のMPが下がるんだってさ、効き目ありそうでしょ?
ハローミミィはこの姉は何て馬鹿なんだろう、とさきほど少し感心したのが騙されて悔しい気分でしたが、交替するのにMP下げないでよ、と言いました。あ、下がった?どのくらい?としつこく訊いてくる姉に、わかんないわよ私元々MPないから、とミミィはぶっきらぼうに答えました。えっ、ないの?私の妹なのに?そういうのはきっと全部あんたに取られて生まれてきちゃったのよ、と、ハローミミィは苦々しく返しました。
寂しいこと言うのね、自信のない女は客がつかないわよ、とハローキティ。じゃあ相手を逆にしてやってみる?いつの間にか親友のキャリーも休憩に戻って、姉妹のやりとりをぽかんとして眺めています。
いいわよ、とハローキティ。私何て言えばいいの?と困惑するミミィ。イカの金玉!ってのはどう?ミミィは仕方なくイカの金玉!と叫ぶと、脱衣カゴを持って姉がしていたように踊りだしました。あんたたちどうしちゃったの!?と驚愕するキャリーに説明する気力もなく、どおMP下がった?とミミィは尋ねました。ううん全然。
あの、そろそろ出ないとまずくない?とキャリーがミミィを促しました。繁盛も良いけれど、あっちの店とほどよく客が分かれればいいのにね、とキャリー。あんなうさぎばかりの店なんか問題外じゃん!とハローキティは自信たっぷりでした。