人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

12月の冷やし中華

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 早いもので今年も12月になった、という書き出しのブログを書いている人は全国で何万人もいると思うが、さあて12月最初の食事だ、残りご飯はないし今からご飯を炊くのも面倒だし、昨日一昨日でソバとうどんと焼きそばは食べたばかりだし、茹でおきがあればともかくこれからスパゲッティ茹でるのもなあ。もちろんパンの買い置きもないし、スーパーの開店時間はまだで、コンビニの割り高な食材を買いに行くのも何だかだし。と、結局買い置きのインスタントラーメンにする。インスタントラーメンといっても油揚げ麺は体調を選ぶので乾燥麺タイプのものを特売の時に買い置きするのだが(油揚げ麺で唯一の例外はサッポロ一番だが)、見てみたらラ王の冷やし中華しかない。ごまだれとしょう油だれ両方あるし、幸いキュウリとウィンナーがあったので細切りにすれば具としては十分だろう。やっぱり12月ともなると、ごまだれとしょう油だれなら少しでも暖まりそうなごまだれを選んでしまうのだった。

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 茹で上げた麺は湯切りしてほぐす程度に水を通すくらいにし、冷やし中華というより茹で上げ汁なし麺にする。そうしてあー、12月になって冷やし中華か、と苦笑しつつ(強いて呼び替えれば)ごまだれ温麺をすすっていると、今日は良く晴れた日だが、12月といえばアレだな、とこの曲を思い出す。

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はっぴいえんど「12月の雨の日 」1971.4.1 [45RPM Ver.] : https://youtu.be/0Z_-7IzSAjg

 はっぴいえんど細野晴臣松本隆大瀧詠一鈴木茂によって1969年に結成され、アルバムに『はっぴいえんど』1970.8.5(通称『ゆでめん』)、『風街ろまん』71.11.20の2枚をフォーク系インディーズのURCレーベルから発表し、その後解散状態だったが事実上の再結成アルバム『HAPPY END』1973.2.25をキング・レコード傘下のポップス系レーベル・ベルウッドから発表して正式に解散。メンバー各自のソロ活動開始とともに『CITY/はっぴいえんどベスト・アルバム』1973.9.10、解散コンサートを収録した『ライヴ!はっぴいえんど』1974.1.15がリリースされた。

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 一昨年12月30日の大瀧詠一氏の急逝は記憶に新しいが(リンゴを喉に詰まらせて動脈瘤を起こしたとされる)、デビュー作『ゆでめん』の冒頭の曲は年末年始にも里帰りしない青年が「春よ来い!」といじけている曲だった。はっぴいえんどの最高傑作は完成度の高い『風街ろまん』と定評があるが、都会的で爽やかな『風街~』よりどこか憂鬱で、それが初々しさになっている『ゆでめん』の方が12月に聴くにはしっくりくる。先に引いた「12月の雨の日」は再録音のシングル・ヴァージョンだが、もともとは『ゆでめん』収録曲だった。松本隆のドラムスがださい。だが松本隆の作詞と、歌詞のムードに沿ったサウンドは、それまでロカビリー~GSが主流で、フォーク・クルセダーズとジャックス、フォーク界では南正人と遠藤賢司くらいしか先例のなかったアーティスティックなアンダーグラウンド・ロックを足場にして、現役バンドでいうならスピッツBUMP OF CHICKENらに隔世遺伝されるような世界を作っていた。なにより『ゆでめん』という日本的ポップアート感覚が一日一麺の人間にはたまらない。アルバムA麺の冒頭3曲を引きます。サイケなギターにヘヴィなベース、大瀧詠一のへなへなヴォーカル(細野晴臣が歌う3曲目は男っぽい、しかもインテリっぽいが)に変な歌詞(細野ヴォーカル曲は細野詞で、やはりインテリっぽいが)、一度聴くと忘れられない魅力がある。冬に食べる生ぬるい冷やし中華のような……と無理やりこじつけたりして(苦笑)。

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はっぴいえんど「春よ来い」1970 : https://youtu.be/c6368GPweTo
はっぴいえんど「かくれんぼ」1970 : https://youtu.be/6EgYBEb-0CE
はっぴいえんど「しんしんしん」1970 : https://youtu.be/MysJbvKOMbk