(米Flicker Alley社『アルバトロス社作品集』5DVD, 2013)
翌'24年からはアルバトロス社はフランスの気鋭の監督を迎えるようになり、ジャン・エプスタン、マルセル・レルビエ、ジャック・フェデーの監督作品を制作しますが、これはモジューヒンがハリウッドに、ヴォルコフがドイツに進出して発足時のロシア映画人が独立していったことにもよります。アルバトロス社は制作本数こそ減りながらも'30年代いっぱいまで活動し、ルネ・クレールの『イタリア麦の帽子』'28、ジャン・ルノワールの『どん底』'36もアルバトロス社の制作です。
(仏Potemkine社『ジャン・エプスタン-アルバトロス社作品集』3DVD)
またフラッシュ・バック、フラッシュ・フォーワードが多用され、多くはオーヴァーラップですが、サイレント末期のジャック・フェデー作品ではオーヴァーラップなしのフラッシュ・バック/フラッシュ・フォーワードというトーキーへの過渡的スタイルに移行している点でも先進的なものでした。
題材(上流階級)を舞台にした豪華な大セット、膨大なエキストラを動員した大作感を基本とする一方、美しい風景や自然をとらえた、生活感のある身近なロケーション場面とのバランスも常に配慮されており、今日ではむしろロケーション撮影シーンの方が製作当時のフランスの空気感を伝えています。
1920年代のフランス映画をアルバトロス社の映画だけで語ることはできませんが、作品がもっとも充実し、同時代的な成功も納めた点で同社の功績は永く記憶されるに値するものでしょう。今回観た8本でも半数の4本が大正末~昭和初頭の当時即座に日本公開され、高い評価と影響力、ヒット実績を誇った作品なのが知られています。伝説的映画プロダクションの名作の数々と思うと鑑賞にも身が入るというものです。
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12月16日(金)
イワン・モジューヒン(1889-1939)『火花する恋』(フランス'23)*113mins, Silent, B/W
アレクサンドル・ヴォルコフ(1885-1942)『キイン』(フランス'23)*140mins, Silent, B/W
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12月17日(土)
ジャン・エプスタン(1897-1953)『蒙古の獅子』(フランス'24)*100mins, Silent, B/W
ジャン・エプスタン『二重の愛』(フランス'25)*105mins, Silent, B/W
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12月18日(日)
ジャン・エプスタン『ロベール・マケールの冒険』(フランス'25)*200mins, Silent, B/W
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12月19日(月)
マルセル・レルビエ(1890-1979)『生けるパスカル』(フランス'25)*171mins, Silent, B/W
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12月20日(火)
ジャック・フェデー(1885-1948)『グリビシュ』(フランス'26)*112mins, Silent, B/W
ジャック・フェデー『成金紳士たち』(フランス'28)*135mins, Silent, B/W
翌'24年からはアルバトロス社はフランスの気鋭の監督を迎えるようになり、ジャン・エプスタン、マルセル・レルビエ、ジャック・フェデーの監督作品を制作しますが、これはモジューヒンがハリウッドに、ヴォルコフがドイツに進出して発足時のロシア映画人が独立していったことにもよります。アルバトロス社は制作本数こそ減りながらも'30年代いっぱいまで活動し、ルネ・クレールの『イタリア麦の帽子』'28、ジャン・ルノワールの『どん底』'36もアルバトロス社の制作です。
(仏Potemkine社『ジャン・エプスタン-アルバトロス社作品集』3DVD)
またフラッシュ・バック、フラッシュ・フォーワードが多用され、多くはオーヴァーラップですが、サイレント末期のジャック・フェデー作品ではオーヴァーラップなしのフラッシュ・バック/フラッシュ・フォーワードというトーキーへの過渡的スタイルに移行している点でも先進的なものでした。
題材(上流階級)を舞台にした豪華な大セット、膨大なエキストラを動員した大作感を基本とする一方、美しい風景や自然をとらえた、生活感のある身近なロケーション場面とのバランスも常に配慮されており、今日ではむしろロケーション撮影シーンの方が製作当時のフランスの空気感を伝えています。
1920年代のフランス映画をアルバトロス社の映画だけで語ることはできませんが、作品がもっとも充実し、同時代的な成功も納めた点で同社の功績は永く記憶されるに値するものでしょう。今回観た8本でも半数の4本が大正末~昭和初頭の当時即座に日本公開され、高い評価と影響力、ヒット実績を誇った作品なのが知られています。伝説的映画プロダクションの名作の数々と思うと鑑賞にも身が入るというものです。
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12月16日(金)
イワン・モジューヒン(1889-1939)『火花する恋』(フランス'23)*113mins, Silent, B/W
アレクサンドル・ヴォルコフ(1885-1942)『キイン』(フランス'23)*140mins, Silent, B/W
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12月17日(土)
ジャン・エプスタン(1897-1953)『蒙古の獅子』(フランス'24)*100mins, Silent, B/W
ジャン・エプスタン『二重の愛』(フランス'25)*105mins, Silent, B/W
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12月18日(日)
ジャン・エプスタン『ロベール・マケールの冒険』(フランス'25)*200mins, Silent, B/W
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12月19日(月)
マルセル・レルビエ(1890-1979)『生けるパスカル』(フランス'25)*171mins, Silent, B/W
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12月20日(火)
ジャック・フェデー(1885-1948)『グリビシュ』(フランス'26)*112mins, Silent, B/W
ジャック・フェデー『成金紳士たち』(フランス'28)*135mins, Silent, B/W