人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

サイレント映画 Silent

映画「復活」(D・W・グリフィス, 1909)

復活 Resurrection (Biograph Company, 1909.5.20) Silent, B&W, 12mins (originally Speed Screening : 15mins) : https://en.wikipedia.org/wiki/Resurrection_%281909_film%29?wprov=sfla1https://youtu.be/SOl6KhNULCw?si=JnZzPip_7Vyp_YTRhttps://yout…

100年前のヌード・モデル、オードリー・マンソン(1891-1996)

(オードリー・マンソン、映画『Purity』1916の現存スチール写真より) (サンフランシスコ万国博の年1915年、写真家アーノルド・ジェンスの愛猫ブザーとアトリエでくつろぐマンソン) ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために、というのはボルシェヴィ…

「千の顔を持つ男」ロン・チェイニー(1883-1930)主演作『天罰』The People (Goldwyn Pictures'20)

(『天罰(The Penalty)』'20の1シーンより) ロン・チェイニー(Lon Chaney, 1883-1930)は『ノートルダムの傴僂男』'23、『オペラの怪人』'25(邦題『オペラ座の怪人』はリメイク作品以降のタイトル)の2作だけでも映画史に残る俳優ですが、映画がサウンド・トー…

映画日記2019年4月28~30日/オレクサンドル・ドヴジェンコ(1894-1956)の「ウクライナ三部作」

セルゲイ・エイゼンシュテイン(1898-1948)、前回ご紹介したフセヴォロド・プドフキン(1893-1953)とともにサイレント時代のソヴィエト映画の3大巨匠監督と並び称されるオレクサンドル・ドヴジェンコ(Olexander Petrovych Dovzhenko, 1894-1956)ですが、首都モ…

映画日記2019年4月25~27日/ フセヴォロド・プドフキン(1893-1953)の「革命三部作」

ロシア革命(1917年)以前のロシア映画も演劇文化の蓄積を生かして短編時代から長編映画への転換期だった1913~16年には十分な発展をとげ、イヴァン・モジューヒンやナタリー・リセンコ、アラ・ナジモヴァら舞台出身で映画製作者も兼ねていた国際的大スターを…

映画日記2019年1月30日・31日/サイレント短編時代のバスター・キートン(7)

キートンの主演長編映画は'20年9月公開の主演・監督・脚本デビュー作の短編「文化生活一週間」の翌月10月に『馬鹿息子』がありましたが、同作はブロードウェイのヒット舞台劇の映画化で監督も製作のメトロ映画社側のハーバート・ブラシェであり撮影・完成も…

映画日記2019年1月28日・29日/サイレント短編時代のバスター・キートン(6)

今回の2編で'22年度の7作のキートン短編のご紹介は終わり、あとは'23年度の短編「キートンの空中結婚(キートンの昇天)」(1月公開)、「捨小舟」(3月公開)でキートンのサイレント時代の短編は終わり『滑稽恋愛三代記(キートンの恋愛三代記)』 The Three Ages (…

映画日記2019年1月25日~27日/サイレント短編時代のバスター・キートン(5)

前回の3編「キートンの船出」「キートンの白人酋長」そして「キートンの警官騒動」が揃ってキートンらしい奇想と悪夢感、さらに完成度のいずれも完備した傑作だっただけに、今回ご紹介する3編はややこぢんまりとした出来(「キートン半殺し」「キートンの鍛冶…

映画日記2019年1月22日~24日/サイレント短編時代のバスター・キートン(4)

今回の3編「キートンの船出(漂流)」「キートンの白人酋長(キートンの酋長、キートンのハッタリ酋長)」「キートンの警官騒動」はいずれも傑作です。まだ短編全部を観直し終わっておらず、前回の感想文ではキートンの短編で傑出した作品として「文化生活一週間…

映画日記2019年1月19日~21日/サイレント短編時代のバスター・キートン(3)

バスター・キートン3回目の今回はある意味ふり出しに戻った回で、短編第7作の「キートンのハイ・サイン」は公開順は7編目ですがキートンがジョセフ・スケンク・プロダクション内で先輩コメディ・スターのロスコー・"ファッティ"・アーバックル作品の助演・助…

映画日記2019年1月16日~18日/サイレント短編時代のバスター・キートン(2)

家庭用映像ソフトが簡単に手に入る現在ではあ然とするほど、かつて短編時代のチャップリンやロイド、キートン作品は観られる機会が少ないものでした。'60年代にサイレント喜劇の再評価が進み、'70年代にはチャップリンの「犬の生活」以降の作品が日本でもニ…

映画日記2019年1月13日~15日/サイレント短編時代のバスター・キートン(1)

チャーリー(チャールズ)・チャップリン(1889-1977)、ハロルド・ロイド(1893-1971)と並んでサイレント時代の三大喜劇王と名高いバスター・キートン(1895-1966)は、芸人一家出身で子役時代からの舞台歴ではチャップリン同様ですが、'14年映画デビュー、同年中…

映画日記2019年1月7日~9日/短編・中編時代のハロルド・ロイド(4)

映画俳優としてのキャリアを'13年に始めたハロルド・ロイド(1893-1971)は'13年に短編7編、'14年には短編5編の助演を経ただけでしたが、'15年に盟友ハル・ローチ(1892-1992)が独立プロダクション「ハル・ローチ・プロダクション」を起こして看板俳優として友…

映画日記2019年1月7日~9日/短編・中編時代のハロルド・ロイド(3)

異なる個性を持つ喜劇人を比較しても仕方ないのですが、エッサネイ社~ミューチュアル社時代の初期短編のチャップリンは'15年~'17年の3年間でまったく短編喜劇映画の水準を一変させたと言えて、そこに'15年半ばからチャップリンのフォロワーであるビリー・…

映画日記2019年1月4日~6日/短編・中編時代のハロルド・ロイド(2)

ハロルド・ロイド作品は'20年には前年'19年の1巻もの36編・2巻もの2巻もの3編から2巻もの6編に減少しますが、その分1編単位は力作とヒット作として安定したペースに移ったわけで、ボックスセットには'6編中この年の第2作「ロイドの化物屋敷」Mar.14、第3作「…

映画日記2019年1月1日~3日/短編・中編時代のハロルド・ロイド(1)

1913年から各社に映画出演し、'13年に短編7編、'14年には短編5編の助演を経ながら初めてハル・ロイド名義で出演クレジットされたハロルド・ロイド(1893-1971)は翌'15年に初めて主演に起用されます。これは盟友ハル・ローチ(1892-1992)が独立プロダクション「…

映画日記2018年12月28日・29日/1918年度のチャップリン映画

あらためましてあけましておめでとうございます。新年最初の映画日記は昨年の終わりにチャップリン初期短編の締めくくりとして観直したファースト・ナショナル社移籍の年、'18年の中編2作で、移籍第1作の中編「犬の生活」と同年の次の中編「担え銃」の間にチ…

映画日記2018年12月25日~27日/初期短編(ミューチュアル社)時代のチャップリン(9)

今回の3編でデビュー2~3年目に当たるエッサネイ映画社でのチャップリン短編15編('15年~'16年)、デビュー3~4年目に当たるミューチュアル映画社でのチャップリン短編12編のご紹介は終わりです。筆者は続けて12月28日(金)にファースト・ナショナル社移籍第1…

映画日記2018年12月22日~24日/初期短編(ミューチュアル社)時代のチャップリン(8)

ミューチュアル社時代のチャップリン短編12編は本当にヴァラエティに富んでいて、系列として数作ずつ傾向をまとめることもできますが、先立つキーストン社時代・エッサネイ社時代の短編、後年のファースト・ナショナル社での諸作や長編に徹して寡作になった…

映画日記2018年12月19日~21日/初期短編(ミューチュアル社)時代のチャップリン(7)

ミューチュアル社第1・2作「チャップリンの替玉」「チャップリンの消防夫」をあえてデビュー年'14年に所属したキーストン社(マック・セネット)の集団ドタバタ劇の手法を新味のある趣向で作り直した作風(古い酒を新しい器に注ぐ、の趣きです)で始めたチャップ…

映画日記2018年12月16日~18日/初期短編(ミューチュアル社)時代のチャップリン(6)

チャップリンの映画デビューの初期キャリアはデビュー会社のキーストン映画社時代('14年)、移籍してエッサネイ映画社時代('15年)、さらに移籍してミューチュアル映画社時代('16年~'17年)の3社の時期に分けられ、キーストン社では11か月間に短編35編・長編1…

映画日記2018年12月13日~15日/初期短編(エッサネイ社)時代のチャップリン(5)

チャップリンは'15年末までにはエッサネイ社との年間契約を満了して新たにミューチュアル社とさらに良い待遇の契約を結んだので、'15年12月公開の新作は割と安易な発想のパロディ作品「チャップリンのカルメン」になりました。'15年末にはセシル・B・デミル…

映画日記2018年12月10日~12日/初期短編(エッサネイ社)時代のチャップリン(4)

エッサネイ社時代に限らずチャップリンは気に入ったスタッフは固定し、キャストも数作単位で起用して似たような配役でヴァリエーションを考案する座付け脚本家の面があって、前回のエッサネイ社第7作~第9作「アルコール先生海水浴の巻(By the Sea)」('15年4…

映画日記2018年12月7日~9日/初期短編(エッサネイ社)時代のチャップリン(3)

エッサネイ社作品第3作の2巻もの「チャップリンの拳闘(The Champion)」('15年3月11日公開)で前作「アルコール夜通し転宅(A Night Out)」(2月15日公開)に泥酔したチャップリンに絡まれる夫婦の妻役で出演していた新人女優エドナ・パーヴィアンス(1895-1958)を…

映画日記2018年12月4日~6日/初期短編(エッサネイ社)時代のチャップリン(2)

多少読みづらいのをお詫びしますが、今観直している時期のチャップリン映画は短編時代なので、第1回の前回同様に今回は短編1編ごとの紹介・感想文ではなく3編ずつまとめて観ていき感想文を一括しています。エッサネイ社時代('15年~'16年初頭)での15編はこの…

映画日記2018年12月1日~3日/初期短編(エッサネイ社)時代のチャップリン(1)

年末年始になるとチャールズ(チャーリー)・チャップリンの映画を観たくなるのは私だけでしょうか。チャップリンが本格的に主演・監督・脚本だけでなくプロデュースにも乗り出し、専用スタジオと専任スタッフを構えたのは中編「犬の生活」'18から始まるファー…

映画日記2018年11月29日~30日/サイレント時代のドイツ映画(11)

11月に観てきたサイレント時代のドイツ映画も今回の2本で感想文はおしまいになりました。サイレント時代のドイツ映画にはプロレタリア映画の古典『クラウゼ小母さんの幸福』'29(ピール・ユッツィ監督)や、ソヴィエト映画界からスタッフ、キャストをベルリン…

映画日記2018年11月27日~28日/サイレント時代のドイツ映画(10)

ヨーエ・マイの『アスファルト』は2005年にイギリスのEureka!社の古典映画復刻シリーズ「Masters of Cinema」から7番目の作品として世界初DVD化されましたが、解説ブックレットのエッセイ「ヨーエ・マイの『アスファルト』に見るウーファ映画社のスタイルと…

映画日記2018年11月25日~26日/サイレント時代のドイツ映画(9)

サイレント時代のドイツ映画は第1次世界大戦の勃発から終焉まで、ちょうど映画の長編化確立期だった'10年代の半ばを国際交流の道の断たれた状態で過ぎる不運がありましたが、逆に大戦中は外国映画の輸入がされない分ドイツ、オーストリア=ハンガリー帝国圏…

映画日記2018年11月22日~24日/サイレント時代のドイツ映画(8)

ここまでで24本の'26年公開までのドイツ圏映画を観てきたことになり、『プラーグの大学生』'13で始めたリストもリメイク版『プラーグの大学生』'26にいたります。ドイツ圏映画界は第1次世界大戦のため本格的な国際化は戦後のワイマール時代('19年~ナチス政…