人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

わかる読書・わからない読書(1)

 以前、と言ってもそう昔のことではないが、このブログは来訪者は増えつつも記事へのコメントはまったくなし、という状態が長く続いた。自分なりに理由は考えたものだ。文章が堅苦しいのでコメントしづらい、興味は持てるが同意はできないのでコメントしない、やや自虐的だが障害者とコメントで直に接するのは腰が退ける、または一生懸命書いているようだから好意を持って目を通すのだが読みきれない、読み通してもなんだかよくわからなかった。どれもありそうなことだ。
 これまでもライター仕事や保育園の連絡帳など公的な文章は平易に書いていたが、学生時代なんか「おれの言ってることがお前にわかるか!」とでも言わんばかりに飛躍が多く独断的な文章を書いていた。
 コメントがくるようになったのは女性訪問者の方の力が大きい。本文の内容には触れずにごく日常的な話題を書き込んでくれるのだ。すると自然にコメントも寄せられるようになった。やっぱりそれまで警戒されていたのか?いや、きっとまだだれも話しかけない転校生みたいなものだったのだろう。アスペルガー症候群(自閉症の一種)の特徴に「比喩が理解できない」というのがあるが、アスペルガーながらこれには該当しないようだ。「お手上げだよ」と言われてもバンザイしない。

 コメント皆無の時期の記事から、ちょっと再引用したいものがある。以下そのまま引用する。

「大好きな室生犀星の晩年の佳作を紹介する。西脇順三郎が「マラルメ以上にマラルメ的」と絶賛した一篇だ。題して「舌」。

みづうみなぞ眼にはいらない、
景色は耳の上に
つぶれゆがんでいる、
舌といふものは
おさかなみたいね、
好きなやうに泳ぐわね。

この詩の解説は最後にして……(下略)」

 それで結局「この詩の解説」はしないで、別の詩人の紹介で終ったのだった。ぼくもクイズの解答みたいなヤボなことはしないで済ませたかった。
 でも今はちょっと知りたく思う。国語の授業もしくはクイズ解答者のつもりでお読みいただきたい。この詩は何を描いているのでしょうか?不正解を恐れず思った通りをお教えください。この詩の場合、正解はひとつしかないが、詩は本来多意味なものの方が本流。作者の意図したものと異なったものを見出だしてもおかしくはないのだ。

 この話題はまた改めて書いてみます。