人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

虫垂炎退院日記(5)私の処女出版2

ではなんでそんな著作権侵害みたいなことになったのか、とより詳しい事情を質問されたので、以下にその返信を引用をする。

「そもそも写真家氏は日本語原稿作成を編集部に頼んだので、ぼくを編集部のスタッフと誤認していたのです。ぼくは記名せずダッシュで質問や発言を挿入し、それも最小限にとどめたから、なおさら写真家氏は自分の行ったロング・インタヴューであるとして帰国後に仏語訳したわけです。
多作な監督ですからフィルモグラフィはたいへんでしたが、それも作成したのは当然ぼくでした。前半は写真集だから共著としてどれだけの割合を占めるかを置いても、少なくとも編集・構成がぼくの手になるものとは言えます。
事実上のインタヴュアーと執筆はぼくでした。これもひと苦労で、監督には当時7、8年ほど前に出た聞き書きの自伝があり、ご自分でも愛読書らしくその自伝と同じこと(言い回しまで同じ)しか言ってくれないんですね。写真家氏には新鮮な話だけど自伝を読むほどのファンにはそれじゃ仕方がない。軸となるキャリアをおさえた上で珍しいエピソードや発言を引き出すのは大変でした。
お会いした印象は、おおらかな親分肌の人柄でしたね。映画から受ける鋭利で反逆的でアモラルな感じはまったくなく、インディペンデントの映画監督として若いスタッフを起用し奇抜な作品を作り続けてきた、興行師的な感覚の人と見ました。あこがれの人に仕事で会うもんじゃないです」
「小説家、劇作家、映画監督、写真家、漫画家、アニメイター、画家などいわゆるクリエイターや、俳優、ミュージシャン、彫物師、ピアッシング・アドヴァイザー、縄師(SMの)など大勢の人にインタヴューしてきましたが、やはりプロモーション意識が先立つからか調子のいい話しかしてくれません。むしろアダルト・ヴィデオ関係者のほうがオープンで、つらさも楽しみも率直に打ち明けてくれました。いわゆる「風俗」は業種によってまちまちでした
ライター時代の回想は、まだ書けないことが多いです。一応職業ライターとしては気持よく話してもらい、ネガティヴなイメージを読者に与えないように書く。その点でぼくはそつなく、自分自身ではずっと物足りない仕事をしている気分でした」

結びが難しい。要望があるのにぼくが出版の仕事についてなかなか書けないのもそのせいだ。