人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2011-05-23から1日間の記事一覧

里霧への手紙(中学生時代の回想)

アンリ・ミショーの散文詩。「2000年後にもこんな小説を書く生意気な青年が現れるだろう。…ぼくは24歳、地球は飽き飽きした。月にも行った。木星にも。まるで面白くなかった。そして有名人はみんな退屈だった。…やがてぼくは一人の少女に会った。人類の歴史…

里霧への手紙(別れた妻の回想)

精神障害者で生活保護受給者である事情を理解して救済に尽力してくれる親切なスタッフ。福祉機関、そして医療チーム。拘置所をひとりで出てきてから一つ一つ見つけてきたんだ。ほとんど絶望にさらされながら、調べて、たらい回しにされて、それでもたどり着…

ドン・ファン対カサノヴァ

国語や英語の授業で女性教師は必ずぼくを指命してきた。ぼくは穏やかで感情のこもった声で朗読した。クラス中の女の子がため息をついた。はっきりと「すてき…」と言う子もいた。 ぼくが黒板に書くと、同じような反響にあった。「きれいな字!優しい…」 制服の…

2007年5月23日

2007年5月23日、ぼくは逮捕された。その朝旅館を出たぼくは離婚したばかりの妻子の住むマンションに早めに着いてしまい、コンビニの弁当をエントランスで食べた。集合ポストの表札はもう妻の旧姓になっていた。ぼくはまだ引っ越し先が決って居なかった。別居…

日曜日

(佐伯です。ぼくが愛読した詩人は萩原朔太郎、西脇順三郎、ボードレール、ジュール・ラフォルグだった。きみにプレゼントした本はみんなきみの夫に捨てられてしまった。 ぼくは元々詩を書いていた。きみのために25年ぶりに書いてみたくなった。作風はジュー…

不機嫌な森(2)

きみはぼくを夫に選ばないだろう。ぼくもきみは勘弁だ。なのにこんなに求めあう関係になってしまった。たぶん今夜もぼくはきみを存分に犯して、きみとの架空の対話の中できみの願望を聞き出し、きみをもっと感じさせてあげる。 恋人通しならこんな妄想も許さ…

不機嫌な森(1)

優しい里霧さん、 タイトルがちょっと不穏でごめんね(不穏を変換しようとしたらフォンデュが出た。チーズフォンデュは妻にも娘たちにもお気に入り料理だった。ラザニアも…二人とも離乳食からぼくが食べさせてきたんだ)。 ちなみに下北沢に美味しいチーズフォ…