人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟の思い出36

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・3月20日(土)晴れ
(前回から続く)
「(一服して喫煙室から出ると)Tjさん・推定70代女性から、あんたも一緒に散歩に行かない?これからみんなで行くのよ、と声をかけられる。土日は学習プログラムは休みで(週末帰宅する人も多いため)行事はあっても任意参加の映画鑑賞とかだから(注1)みんなヒマなのだ。どの辺に行くんですか?A屋の裏の川をリサイクルセンターに向かい鯉を見ながら東に歩く。メンバーはTjさんの他にKdさん・推定60代女性、Uzさん・推定50代女性、Kjさん・推定40代女性(通称お照さん)、Yzさん・推定50代男性と、Kくん(佐伯くん行くのか、ならおれも)以外は全員アルコール科。彼にしても躁鬱だから、病人集団には違いない」

「今日は師匠が歯医者行っちゃっていないから、とKdさんが言うからには、いつもはFさん(注2)がみんなを引率してグループ散歩しているようだ。まずここでひと休み、とA屋前のベンチに行くと、KくんがよおTnくん、彼がKくんとSmくんで奇人ぶりに大ウケしている予測不可能青年のTnくんらしい。はじめまして、OT(作業療法)で会ったらよろしく、とあいさつする。彼の隣の20代後半の女性が、はじめまして、お名前なんていうんですか?佐伯といいます。まあ、素敵なお名前。それから煙草についての会話で、今2000円しかないからカートンで注文できないの。いつもは赤いホープだけどA屋でバラで買えるのは白いホープだから、と彼女の話の聞き役しているうちにみんな休憩を終えて店の裏へ廻るのに気づくが、店からまた別の若い女性が出てきたのでホープの女性が呼び止め、×ちゃんおいでよ、素敵な人がいるよ。とても頭がいいんだって(注3)。とり急ぎその女性にあいさつして(注4)散歩グループに追いつく」

(注1)そうは言っても教育的な映画だが。退院した翌週には患者持ち込みの「トラック野郎」鑑賞予定で羨ましかった。余談だが他の病院の入院では寅さん、釣りバカ日誌おくりびと等を観た。精神病棟で「カッコーの巣の上で」なんか観たら笑えるな。
(注2)退院後Kdさんはみんなでキャンプに行き、泥酔したFさんが友人の奥さんをレイプする現場を目撃する。
(注3)いつそういうことになったのかわからない。
(注4)なぜか入院中はモテる、と以前書いた一例。