人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記188

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(人名はすべて仮名です)
・4月15日(木)雨のち曇り
(前回から続く)
「病院から断酒会に出席のメンバーは冬村さん、山崎さん、松本さん(以上男)、滝口さん、木島さん(同女)の計六人で、アルコール科患者は酒歴発表以外にも入院中に最低二回の自助グループ出席ノルマと最低一回の帰宅外泊練習のノルマがある。帰宅外泊した時に飲酒してきたら入院延長。まず朝の会で抗酒剤を服用してから帰宅するのでその日は飲めないし、病院に戻る日も飲酒して出てくるわけにはいかないから一泊二日では飲めない。二泊三日は同居家族のいる人しか許されないから同居家族の手前飲めない。自分の外泊の時はどうするだろう、個人差もあるがひどい場合は抗酒剤服用下で飲酒すると心拍停止にまで至る、と脅かされている」

ダイソーでめいめいが買い物している間、待ち合わせ場所で滝口さんにどこに住んでいるか訊かれ、今まで××病院第二病棟209とはぐらかしてきたが、町田の変貌ぶりにノスタルジックな気分になっていたせいか座間だよ、小田急線の、と簡単に答える。え、私、座間高校行ってたんですよ!おれも座間高だったけど不登校して厚木の高校に転入しちゃったから入学はしたけど卒業はしてないよ。やがて冬村さんたちが戻ってくると、滝口さんは佐伯さんと私同じ高校だったんですよ、とはしゃぐので苦笑する。滝口さん、それって本人たち以外たいして面白くもない話だよ(註)」

「断酒会の会場は一階が商業施設、二階から上は公共施設の入っている『町田市民フォーラム』の二階の一室(和室)だった。一階には久美堂やディスクユニオンがある。まだ30分以上待つので久美堂で『レコードコレクターズ』最新号購入。断酒会は40人ほど集まっただろうか、全員が車座になり数分ずつしゃべる。渡辺愛さんも来ていた。七時から始まり八時半を過ぎてお開きになる。病院は山奥なので間に合う系統のバスが一本しかない、と全員早足で歩き出し、振り返ると渡辺さんが人をさがしている様子だった。おれだったらごめん、と思いながらなんとかバスターミナルにたどり着き、病院からかなり離れた停留所からちょっとした山道を上がって病院に戻る。遠足みたいですねえ、と滝口さん。こんな時間に遠足しないよ。病棟に戻ると寝室はすでに消灯、荷物チェックを済ませると10時近かった」

(註)この偶然が禍いの素になった。