人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記189

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(人名はすべて仮名です)
・4月16日(金)雨のち曇り「今日のOTはフィールドワークで、近隣の自然公園までお弁当を持ってピクニックに行く予定だった、がおとといから週末は雨予報で冷え込むということだったのだ。決行されるかは当日の天候次第、ピクニック自体を楽しみにしている人はいないがお弁当には期待がかかる。結局雨天なので午前中は室内スポーツでビーチバレー、卓球、バドミントン。お昼は折り詰めのおかずとおにぎり三個をいつもの病棟で食べる。少し休み、多目的ルームでサンドラ・ブロック主演『28デイズ』を日本語吹き替え・日本語字幕表示で観る。依存症治療院の話だが、教育映画臭はなく楽しめた。なにより大型プロジェクター上映だったのが嬉しい」

「プログラムの関係上今日の掃除は免除だが、午後三時からは檀門先生の『酒害教室』が組まれていた。だが先生多忙のため休講だという。もともとスケジュール編成のミスだろう。この病院ではこんなことは日常茶飯事になっている。…入浴はさっさと済ませ、日記を半日分書き、『ハック』を少し読み進める。この小説を読むのはたぶん四回目くらいになるが、そのたび読んでも興味が持続せず、当然読了してもほとんど内容を憶えていない。退屈しのぎに読む本が退屈との戦いとはやるせない」

「朝はお照さんの退院を見送った。昨日の晩は断酒会帰りで遅くなったのに、勝浦くんにお照さんは明日退院だぞ、と延々雑談につきあわされたのだ。夕食の席で滝口さんが、今ごろ田島さんも彼氏と楽しく過ごしているんじゃないですか。えっ、と勝浦くんも梅崎さんも意表を突かれた。勝浦くんに一緒に住まない?の件があったからだ。梅崎さんも聞いてたでしょ、と滝口さん、40代で、勝浦さんや佐伯さんより少し年下。そうだったかしら。事の真偽は確かめようがない」

「夜は『クレヨンしんちゃん』のチャンネル権獲得。その後も他愛ない長話で読書にも日記にも戻れない。勝浦くんが安定してきている反面、今日から二泊三日で帰宅した清水くんが心配ではある。今朝のビーチバレーでは尾崎さんの試合開始のサーブを受けそこねた斎藤さんが転倒・骨折して転院した。昨日この病棟に移ってきたばかりの人だった。斎藤さんが担架で搬送され、尾崎さんが愕然として、お、おれのせいじゃないよな。うんうん。笑い事ではないので誰もがその話題はしなかった」