人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記197

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(人名はすべて仮名です)
・4月23日(金)雨のち曇り
「体温36.5、脈拍60、血圧(上)93(下)66、着衣体重60.9、裸体59.7。今日は日直当番。清水くん朝食後に退院。仕事に復帰する予定は当分ないらしい。あいつ毎日奥さんと家にこもって大丈夫かな、と松本さんも勝浦くんも心配しながら見送る。午前中は小山田緑地へのウォーキングがリクリエーションだったが雨天のため室内OTに変更、例によってビーチバレーに、やりたい人は隅でバドミントンや卓球という次第。先週から第二病棟に来た近藤さんは小柄な中年女性で既婚者らしいが、ビーチバレーに加わろうとしてヘルパーにうながされ見学していた。三田さん、降谷さんとは別の意味で認知力があぶない様子だ」

「ビーチバレーも毎週のようにやっていると、入院自体もこれが最後にしたいが今後ビーチバレーに興じるような機会はないだろう、と妙な感慨を覚える。…昼食後は少し横になりたかったが、自己管理分の分包薬を整理しているうちに掃除の時間が来てしまい、慌てて日直の役目で掃除準備の音楽とラジオ体操のCDをかける。掃除後は、女性患者は女性AAの来院メッセージがあるが男性患者は今週はもうプログラムはない。冬村さんは二泊三日の外泊帰宅。電話で彼女に振られたらしいぜ、と勝浦くん、センチメンタル・ジャーニーだな。そういう意味で使う言葉じゃないぞ、と説明しかけるが勝浦くんに18世紀英文学の話をしても無意味なので止め、女性AAの都合上逆順になった一番風呂にさっさと入りに行く。毎日の入浴は離婚以来初めてかもしれない」

「渥美さんも午後に奥さんが迎えに来て外泊、勝浦くんは夕食まで爆睡。男性の週末外泊患者は夕食までには出て行ったのでデイルームはかなりがらんとしている。明日は女性患者も外泊するわけだが。用事がないのでこれまで帰宅外泊しなかった人たちも退院が迫るので外泊練習のノルマがあるのだ。夕食後は例によって勝浦くんが『ペケポン』で譲らず、八時台は『ミュージック・ステーション』で、金曜ロードショー放映『ヤッターマン』は賛同者が得られず市川悦子主演の『いじわるばあさん』に決定した。滝口さんに呼ばれてデイルームに行き、テーブルのみんなでお金を出しあって滝口さんが用意してくれたハンカチを明日の退院の金田さんに贈呈式。金田さん落涙。滝口さんももらい泣き」