人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記219

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(人名はすべて仮名です)
・5月12日(水)小雨のち晴れ
「朝はいいタイミングで起きる。ワゴン到着五分前。勝浦くんも起こす。朝食後に、水曜日は全体会があるがどんなもんかねえ、と部屋で話していると朝の会に呼ばれる。午後二時20分から防災(避難)訓練がある。薬剤散布はその後になると告げられる。全体会はおおむね穏当に終る。勝浦くんとしてはメンテナンスや日直のローテーションを除外されている一部の患者、具体的には篠田くんや吉村くんだが、十分な説明なしに彼らが免除されているのは他の患者に対して不公平ではないか、と説明を望んでいたのだがあっさりかわされて終ってしまった」

「続いてデイケアのビデオ説明になったが、これは毎月同じ案内をしているので任意になり、勝浦くんとコンビニへ。注文してあったゴールデンバットをカートンで受け取り、少年サンデー『絶対可憐チルドレン』立ち読み。勝浦くんは退院前に滝口さんからもらったホームランバーの当り棒を替えてもらい、好物のつぶあん&マーガリンあんぱんを買う。躁鬱はともかく、決めた好みは変えないところは、案外われわれは似ているかもしれない」

「コンビニ前のポストから次女への誕生日プレゼント(おもちゃ券)投函してくる―今年の誕生日で九歳になるはずだ。離婚した時の長女の年齢でもある。昼食前にメールチェックするが新しいメールはないし、午後はまとまったメールを書く時間もない。昼食後30分して今日が当番の灰皿掃除するが、妙に吸殻が少ない。掃除後に一服していると尾崎さんたちが喫いに来て、午前中に金子が一度灰皿掃除していたと知る。坂部も交えて金子の奇妙な言動を話題に、みんな頭をかかえる(笑いながら)」

「一時半からの掃除も、日直が10分早く合図の音楽を流してしまい、集合してしまったからにはやってしまおう派と、間違いなんだから定時に始めるべきだ派で意見が割れ、とりあえず出してきてしまった掃除用具はそのままにして定時に始めることになるが、以前より改善されたのか、より混乱の度を増したのかわからない。二時20分を少し遅れて地震速報が流れる。みんなヒマだから、とっくにデイルームに集まっていて、待ってましたとめいめいのテーブルの下にもぐったり椅子を頭にかぶったりして待機する。ややあって火災発生のアナウンスと避難の指示が出る」(続く)