人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

里霧へのメール(予備不安3)

この後ちょっとビターな内容に入る。調子がよくなかったら、読まないで。

ぼくもきみに恋愛感情を持っていたんじゃない。きみがメールで何度も「恋愛感情ではありません」と書いて来たのでおかしかった。恋愛感情でもないのに、二人とも「予備不安」を抱いていたんだ。好きになってしまうかも。愛されてしまうかも。「予備不安」は願いと迷いの反映だから、その時点でほぼ実現は決まったようなものだった。
しかも「予備不安」の傾向は過去の経験に大きく左右される。
ぼくが見たきみの不安は、甘えたい気持がかなえられない。自分の魅力に自信がない。わかってもらいたい人に限って気持が通じない。本質的な私の魅力に誰も気づいてくれない。私の社会的存在は私の個人的存在と解離している。任意の「里霧」という関数的存在のアイデンティティはただ「女」というだけでしかなく、女が男に従属する性ならば私はそれを生きるしかない。

ぼくはきみのような女性は初めてだった。これまで愛した女性はみんなぼくが初めての恋人だったから、男に対して何のコンプレックスもなく、過去の愛情不全は全部ぼくとの恋愛が解消した。

いちばん魅力的なきみが、いちばんつらいのが悲しい。ぼくが愛した女性できみが最年長だから?でもM浦さんやKさんだってあんまり歳は変わらない。
ただ彼女たちは独身。確かにこれは大きな違いだ。

これまでずっとナルシズムと性的不満がきみの男性経験を抑圧されるがままにしてきた。
ぼくは作家だ。精神医学と心理学、社会学、現代哲学にも通じている。
ずっと考えた。きみのような悲しみを抱えたヒロインを描いた小説、映画…どれも一部はきみと重なり、全体的にはきみと異なる。そしてハッピーエンドはひとつもない。

実現的で地球の芯まで届く言葉をきみの耳に唇をつけて囁きたい。でもそれは、どんな言葉なんだろう?

きみを抱きたい、という願いはS病院の中庭に捨ててきた。ぼくこそきみの愛情に自惚れてきた。ぼくは少しは強くなった。

実は布団は歓迎するよ(笑)。ついでにシーツも。フラットがいい。出来れば毛布も(笑)。
それと、時期遅れのバレンタインチョコレート(笑)。適当なやつでいい。ただし本命の気持を込めてね。
それからきみのメール、きみの俳句。

…結局愛してるんじゃないか、ぼくは、きみのことを(笑)。