人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

いつもの診察室(年賀状続編)

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新年、今日(七日・月曜)は年明け最初の診察日になった。精神科、内科、歯科の三軒を午前中に済ませ、その足で保存食の買い物に昼食抜きでまわる。本当は月の第一月曜は眼科にも行かねばならないが、さすがに午前中で四軒はきつい。ぼくは躁鬱病だから半日できりをつけないと活動過剰になり、興奮状態に進む可能性がある。そんな簡単なものなのか?そんな簡単なものなのだ。
躁鬱病は感情障害の一種だから、人間関係の問題で消長が大きい。人間の活動とは大半が対人関係だから、ぼくは引きこもりの生活をして他人との接触を避けている。人間関係が直接発症の原因となることも多い。錯乱状態に陥り「自分で自分を血まみれにしてしまう」というのは青年患者ふたりからも、ヴェテランの精神保健福祉士さんからも聞いた。
「若い人ほど激しいから、自分の体に傷をつけたり、極端に派手な服装をしたり、親御さんのカードでとんでもない額の買い物をしたりすることが多いです」
引っ越しなどによる環境の変化もあやうい。だがとりわけ大きいのは肉親の死、とは精神疾患の因子がない人でも同じだろう。

伯母からの年賀状にはさすがに主治医ものけぞった。実家との関係、別れた妻と娘たちとの関係はもう六年越しで話してあるわけで、了解は早かった。臨終にも葬儀にも呼ばれず、知らせすらないかもしれない、とは以前から話していた。だが本当にそうなってしまい、伯母経由で知ったとなっては主治医も二の句が告げなかった。
ぼくは留守電に入れるつもりで次女に伝言を託す羽目になったことも話した。それを話した時のアベさん(アベさんとも四年越しだ)の反応も話した。
「そりゃそうだ」
と、主治医。「借金までしてやりくりするような暮らしでプレゼントやお年玉を贈ったのに」
「借金は別件ですけど」
主治医はひっきりなしに電子カルテを叩いていた。

「葉書が届いた午後にアベさんの訪問看護があって助かりました」と、ぼく。「でもアベさんが帰ってからは深酒しましたが」
「それは仕方ないよ」と主治医。「ぼくだってそんなことになったらヤケ酒飲むだろう」
「ヤケでもないですが」とぼく。「飲みながらブログ記事書いて、躁に入ってネット通販で古本とCDを今月の食費と同額くらい注文しました。やばいです」
「今の佐伯さんなら大丈夫だよ」
大丈夫なのだろうか?