人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

中断連載のゆくえ

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今年も踏んだり蹴ったりだった。なにも今年に始まったことではない。なにしろ主治医に「何度死んでいてもおかしくないよなあ」と言われる身で、その都度主の御手がぼくを救い上げてくださるのだった。主は格別生きる望みもない人間はぎりぎりまで放っておいて、劇的に愛をそそいでくださるものなのだ(と自虐的クリスチャンのぼくは考える)。
しかも平穏無事な時にもあえてわざわざ適度な試練を与えてくださる。夏の盲腸(?)入院などがそれだ(昨年ではアルコール依存症の学習入院だった。アル中の危機は避けられたが、不倫恋愛というオマケがついてきてしまった)。盲腸入院では患者服のパジャマで毎朝黒木瞳似美人と一緒にトーストを焼いたが、誘って朝食をともにするには至らなかった。パジャマ同士で朝食なんて、長くてくどいおつきあいが前提のようではないか。それではいつもまるでぼくが色情狂のようだが、そうではない。入院というひとつ屋根の下では、ぼくはウンコにハエがたかるようにモテるのだ。

盲腸の緊急入院で2週間このブログの更新は休止した。その直前ぼくは数本のエッセイを連載形式で掲載していた。タイトルを列挙すると、
モーツァルトの死因をめぐって
●夜ごと太る女のために
●解題「ドグラ・マグラ
江戸川乱歩の功績と大罪
そして、あと1回書けば完結なのに入院してしまったのが「ヴェルヴェット・アンダーグラウンド」(図版上)なのである。で、申しわけないが退院後は気持を切り替えて、半端な連載エッセイは休止した。入院という新ネタができたからだ。いきおい過去の入院やぼくの病歴、その原因となった生活史まで話はおよぶ。いずれ仕切り直そうと思っていた中断エッセイもどこかに飛んでしまった格好になった。
江戸川乱歩」「ドグラ・マグラ」などもダラダラ書かなければあと1、2回。「モーツァルト」はほんのマクラだけ。「夜ごと太る女のために」はイギリスの渋いロックバンドCaravanのアルバム・タイトル'For Girls Who Grow Pump In The Night'1973=図版下から。あれは女性訪問者のかたがたに非常に好評だった。家庭生活の回想と見せかけて実は「無垢の喪失と成長」というテーマだったのだが、男には妻や子供がどんなに不思議な生き物に見えるかを書いたのが面白かったようだ。