口語自由詩
川路柳虹・明治21年(1888年)7月9日生~昭和34年(1959年)4月17日没 新詩四章より 川路柳虹 「塵溜(はきだめ)」 隣の家の穀倉の裏手に 臭い塵溜(はきだめ)が蒸されたにほひ、 塵塚のうちにはこもる いろいろの芥(あくた)の臭み、 梅雨晴れの夕(ゆふべ)をながれ…
三富朽葉(明治22年=1889年8月14日生~大正6年作=1917年8月2日没) 『三富朽葉詩集』第一書房・大正15年(1926年)10月15日刊 「水のほとりに」 三富朽葉水の辺(ほと)りに零れる 響ない真昼の樹魂(こだま)。物のおもひの降り注ぐ はてしなさ。充ちて消えゆく …
(萩原朔太郎明治19年=1886年生~昭和17年=1942年没>) 日本の現代詩で口語自由詩を始めた詩人として浮かんでくる詩人の第一人者は萩原朔太郎(明治19年=1886年生~昭和17年=1942年没)でしょう。「殺人事件」は第1詩集『月に吠える』(大正6年=1917年刊)のう…
(石川啄木明治19年=1886年生~明治44年=1912年没>) ここ数回に渡って古色蒼然たる『現代詩人全集』(新潮社・昭和4年~5年/1929年~1930年)をまず俎上に上げたのは、当時の日本現代詩の過渡期の詩人をご紹介したかったかです。昭和4年(1929年)といえば前年に…
(石川啄木明治19年=1886年生~明治44年=1912年没>) 隱沼 石川啄木 夕影しづかに番(つがひ)の白鷺(しらさぎ)下り、 槇(まき)の葉枯れたる樹下(こした)の隱沼(こもりぬ)にて、 あこがれ歌ふよ。――『その昔(かみ)、よろこび、そは 朝明(あさあけ)、光の搖籃(ゆ…