人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

高村光太郎

『逸見猶吉詩集(ウルトラマリン)』昭和23年(1948年)刊・その3

『逸見猶吉詩集』(全38篇) 昭和23年=1948年6月・十字屋書店 『定本逸見猶吉詩集』(全78篇) 菊地康雄編・昭和41年=1966年1月・思潮社 (逸見猶吉明治40年=1907年生~昭和21年=1946年没>) 海の非情 うねりは深甚な藍青にくろまり キレの剄い氣流のましたを落…

口語自由詩の揺籃~萩原朔太郎・三富朽葉・高村光太郎

(萩原朔太郎明治19年=1886年生~昭和17年=1942年没>) 日本の現代詩で口語自由詩を始めた詩人として浮かんでくる詩人の第一人者は萩原朔太郎(明治19年=1886年生~昭和17年=1942年没)でしょう。「殺人事件」は第1詩集『月に吠える』(大正6年=1917年刊)のう…

高村光太郎「根付の国」「淫心」(詩集『道程』大正3年=1914年刊より)

高村光太郎詩集『道程』・大正3年10月(1914年)抒情詩社刊 (明治44年、自宅アトリエにて、29歳の高村光太郎) 根付の国 高村 光太郎 頬骨が出て、唇が厚くて、眼が三角で、名人三五郎の彫つた根付(ねつけ)の様な顔をして、 魂をぬかれた様にぽかんとして 自分…

二つの「道程」~高村光太郎「道程」(大正3年=1914年)

(明治44年=1911年・28歳の高村光太郎) 詩集 道程 (抒情詩社・大正3年10月25日刊) 「道 程」 高 村 光 太 郎 僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る ああ、自然よ 父よ 僕を一人立ちにした広大な父よ 僕から目を離さないで守る事をせよ 常に父の気魄を僕に…

高村光太郎「母をおもふ」(昭和2年=1927年)

(岩手移住時代の高村光太郎) 母をおもふ 高村光太郎 夜中に目をさましてかじりついた あのむつとするふところの中のお乳。「阿父(おとう)さんと阿母(おかあ)さんとどつちが好き」と 夕暮の背中の上でよくきかれたあの路次口。鑿(のみ)で怪我をしたおれのうし…