人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

萩原朔太郎

室生犀星「兇賊TICRIS氏」・萩原朔太郎「殺人事件」大正3年(1914年)

室生犀星・明治22年(1889年)8月1日生~ 昭和37年(1962年)3月26日没(享年72歳) 兇賊TICRIS氏 TICRISはふくめんを為す。 TICRISは思ひなやみ、 盗むことを念ず。 盗むことを念ずるとき光を感じ 心神を感ず。 ぴすとるを磨き、 天をいだき、 妹には熱き接吻を与…

市島三千雄の詩(前編)

角川文庫『現代詩人全集第二巻・近代2』(昭和37年=1962年4月15日刊) (市島三千雄明治40年=1907生~昭和23年=1948年没>) 市島三千雄(明治40年=1907生~昭和23年=1948年没・新潟生れ)は詩誌「日本詩人」への投稿詩を萩原朔太郎に見出だされてデビューした…

第三の詩人・大手拓次(後編)

詩集『藍色の蟇』昭和11月(1936年)12月・アルス刊 (大手拓次明治20年=1887年生~昭和9年=1934年没>) (大手拓次の自筆原稿とイラスト) 生前まったく無名だった詩人・大手拓次(明治20年=1887年11月3日生~昭和9年=1934年4月18日没)は山村暮鳥(1884-1924)、…

第三の詩人・大手拓次(前編)

(大手拓次明治20年=1887年生~昭和9年=1934年没>) 詩集『藍色の蟇』昭和11月(1936年)12月・アルス刊 (大手拓次の自筆原稿とイラスト) 大手拓次(明治20年=1887年11月3日生~昭和9年=1934年4月18日没)は群馬県生まれ、早稲田大学英文科在学中から詩作を始…

萩原朔太郎の率直さ

(25歳頃の萩原朔太郎と末妹・愛子) 萩原朔太郎(1886-1942)は広い愛読者を持つ詩人ですが、決定版全集とされる草稿から異稿まで網羅した大冊で全16巻におよぶ筑摩書房版の『萩原朔太郎全集』より、青年時代には萩原の秘書だった晩年の三好達治(1900-1964)がや…

伊東静雄詩集『わがひとに與ふる哀歌』(昭和10年=1935年刊)その1

(伊東静雄明治39年=1906年生~昭和28年=1953年没>) 伊東静雄(明治39年=1906年12月10日生~昭和28年=1953年3月12日没)は明治40年(1907年)生まれの中原中也、逸見猶吉より1歳年長の詩人ですが、中原の作風が昭和2年(1927年)頃までには確立し、逸見の画期的な「…

山村暮鳥詩集『聖三稜玻璃』(大正4年=1915年刊)その4

(山村暮鳥明治17年=1884年生~大正13年=1924年没>) 『聖三稜玻璃』初版=四方貼函入り型押し三方山羊革表紙特製本/にんぎょ詩社・大正4年(1915年)12月10日発行 (着色型押し三方山羊革表特紙本) 1915 I-II くれがた くれがたのおそろしさ くりやのすみの玉葱…

山村暮鳥詩集『聖三稜玻璃』(大正4年=1915年刊)その3

(山村暮鳥明治17年=1884年生~大正13年=1924年没>) 山村暮鳥(明治17年=1884年1月10日生~大正13年=1924年12月8日没)の第2詩集『聖三稜玻璃』全編はほぼ均等な4部に分かれ、本文中の該当ページに「1915 III-V」「1914 V-」「1914 VII-XII」「1915 I-II」…

萩原朔太郎詩集『宿命』(昭和14年=1939年刊)より

(萩原朔太郎明治19年=1886年生~昭和17年=1942年没>) 口語による散文詩が日本の現代詩に確立・定着したのは三好達治(明治33年=1900年生~昭和39年=1964年没)の『測量船』(昭和5年=1930年12月刊)の収録諸編であり、当時の三好はボードレール晩年の散文詩集…

口語自由詩の揺籃~萩原朔太郎・三富朽葉・高村光太郎

(萩原朔太郎明治19年=1886年生~昭和17年=1942年没>) 日本の現代詩で口語自由詩を始めた詩人として浮かんでくる詩人の第一人者は萩原朔太郎(明治19年=1886年生~昭和17年=1942年没)でしょう。「殺人事件」は第1詩集『月に吠える』(大正6年=1917年刊)のう…