人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

三富朽葉

三富朽葉「水のほとりに」「メランコリア」(明治42年~43年=1909年~1910年作)

三富朽葉(明治22年=1889年8月14日生~大正6年作=1917年8月2日没) 『三富朽葉詩集』第一書房・大正15年(1926年)10月15日刊 「水のほとりに」 三富朽葉水の辺(ほと)りに零れる 響ない真昼の樹魂(こだま)。物のおもひの降り注ぐ はてしなさ。充ちて消えゆく …

第三の詩人・大手拓次(後編)

詩集『藍色の蟇』昭和11月(1936年)12月・アルス刊 (大手拓次明治20年=1887年生~昭和9年=1934年没>) (大手拓次の自筆原稿とイラスト) 生前まったく無名だった詩人・大手拓次(明治20年=1887年11月3日生~昭和9年=1934年4月18日没)は山村暮鳥(1884-1924)、…

三好達治詩集『測量船』(昭和5年=1930年刊)と明治・大正・昭和の散文詩

(詩集『測量船』第一書房・昭和5年=1930年12月刊) 「鴉」 三好達治 風の早い曇り空に太陽のありかも解らない日の、人けない一すぢの道の上に私は涯しない野原をさまようてゐた。風は四方の地平から私を呼び、私の袖を捉へ裾をめぐり、そしてまたその荒まじい…

口語自由詩の揺籃~萩原朔太郎・三富朽葉・高村光太郎

(萩原朔太郎明治19年=1886年生~昭和17年=1942年没>) 日本の現代詩で口語自由詩を始めた詩人として浮かんでくる詩人の第一人者は萩原朔太郎(明治19年=1886年生~昭和17年=1942年没)でしょう。「殺人事件」は第1詩集『月に吠える』(大正6年=1917年刊)のう…

石川啄木と『現代詩人全集』 (昭和4年=1929年~昭和5年=1930年)(前編)

(石川啄木明治19年=1886年生~明治44年=1912年没>) 隱沼 石川啄木 夕影しづかに番(つがひ)の白鷺(しらさぎ)下り、 槇(まき)の葉枯れたる樹下(こした)の隱沼(こもりぬ)にて、 あこがれ歌ふよ。――『その昔(かみ)、よろこび、そは 朝明(あさあけ)、光の搖籃(ゆ…