人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

アル中病棟入院記109

・3月30日(火)曇りのち晴れ 「帰りはMtさんでもひとりで戻れるので、ソバージュ女性はバス待ち、こちらも昼食まで間があり、二人ともまず玄関先の喫煙所、それから待合室で並んで腰をおろす。おたがい主治医が同じDm先生なので、いい先生ですよね優しくて、…

ロキシー・ミュージック4

79年にロキシーは再結成アルバム「マニフェスト」を発表。メンバーのソロ活動の行き詰まりによる苦肉の策の復活だったが、ますます磨きのかかった快作になる。女を捨てる歌を綺麗事にする手腕ではフェリーと小田和正は双璧だろう。 次の曲は踊れば悲しみも忘…

アル中病棟入院記108

・3月30日(火)曇りのち晴れ 「いつもはまったくアルコール依存症とは関係ない方に逸れていってしまう院内ミーティングだが、困ったこと+飲酒だとなぜか隠れてお酒を飲んでいた頃の苦心談になったのは思いも寄らなかったが、本当に泥沼のアル中体験から出て…

ロキシー・ミュージック3

ロキシー第三作「ストランデッド」二か月前の73年10月、フェリーは初のソロ・アルバム「愚かなり、わが恋」を発表。以後カヴァー曲のみのソロ・アルバム、オリジナル曲のロキシーという使い分けが始まる。次の曲はボブ・ディランのカヴァーで何と本人の投稿…

アル中病棟入院記107

・3月30日(火)曇りのち晴れ 「一応学習プログラムとはいえ任意参加なので院内ミーティングには他には誰も出ない。だが自分ひとりだけでも参加しているのは暇と好奇心以外ないし、入院中に学べることは学んでおきたくもあり、出席届けを出して少しでも学習意…

ロキシー・ミュージック2

72年7月にシングル『ヴァージニア・プレイン』、翌月『リ・メイク・リ・モデル』で始まるデビュー・アルバム『ロキシー・ミュージック』を発表した時リーダーでヴォーカリストのブライアン・フェリーは27歳で、ミック・ジャガーより二歳年少にすぎない。遅咲…

アル中病棟入院記106

・3月30日(火)曇りのち晴れ 「朝食後、喫煙室は満員。食事の遅いどうし、Uzさんと空いてから一服しに入るとSkさんも二巡目か入ってきて、小声で♪~'The days of wine and roses...'と口づさんでいる(注)。女優はリー・レミックでしたね、夫は…。ジャック・レ…

ロキシー・ミュージック1

ロキシー・ミュージックと言えばグラム・ロック、だがグラム・ロックの起源を探るとボブ・ディラン66年のイギリス公演になる。前年には弾き語りフォークで渡英したディランは今回は強力なバックバンドを連れて、最早エンタテインメントの域を超えたステージ…

アル中病棟入院記105

・3月30日(火)曇りのち晴れ 「ポットが出てるぜ、と昨晩就寝前の服薬のため第三病棟に行った時に、Kくんが目ざとく気づいた。しばらく前に患者の一人が電熱ポットを振り回す大騒ぎがあって以来、ポットはナースステーション内に置かれるようになった。それが…

ビリー・ホリデイ22(完)

故・大和明氏はビリーの楽歴のうちコロンビア時代を成長期・完成期・全盛期とし、コモドア時代とデッカ前期を円熟期、デッカ後期を不安定期とし、ヴァーヴ時代のビリーは丸々衰退期とする。ヴァーヴとの契約満了二年後の逝去までコロンビアとMGM社に1枚ずつ…

アル中病棟入院記104

・3月29日(月)曇りときどきにわか雨 「夕食をとうに終えて、19時過ぎてもKwが外出から戻らない。きっとバックレたに違いない、という噂が行き渡って病棟に安堵の雰囲気が漂った頃、ひょっこり大声で、飲まないで帰ってきたぜー、と騒ぎながら奥階段(非常時や…

ビリー・ホリデイ21

ビリーの代表的なライヴ盤で、音質・演奏とも良質なものを上げてみた。また放送録音と個人録音は12枚組CD「パーフェクト・コレクション」にまとめられている。 まずはJATP巡業から、ピアノとベースだけの伴奏で。 [Billie Holiday-Strange Fruit]'45.2.12 …

アル中病棟入院記103

・3月29日(月)曇りときどきにわか雨 「案の定朝の会でひと悶着あった。席上で名指しはできないが当然KwとKu、それに乗じているがいざとなれば関係ないふりをするSkさんのことだ。連絡事項に続き、喫煙室が談話室になっているという報告がありました、喫煙室…

ビリー・ホリデイ20

晩年のビリーは麻薬犯の前科(生前に五回入獄)から謹慎処分を受け、ナイトクラブ出演は不可、LP録音とラジオ・テレビ出演で日銭を稼いでいた。例外的に野外フェスには出演できた。飲食店舗ではないからだ。 これら晩年のテレビ映像を観ると、とても凋落ぶりを…

アル中病棟入院記102

・3月29日(月)曇りときどきにわか雨 「昼食はのんびりだが食後には日直の仕事が待っている。精神科入院でも当番制で作業させるばかりか、全員が日常作業を科せられるのはアルコール科だけなのではなかろうか。当直の仕事はやっかいなので患者会代表が補佐し…

ビリー・ホリデイ19

ヴァーヴ社の宣伝戦略の誤算とは、56年にビリーが新聞記者に口述したスキャンダラスな自伝「奇妙な果実(原題=レディ・シングス・ザ・ブルース)」の発売に伴い同題のアルバムを制作し、自伝の朗読と代表曲の回顧からなるコンサートを行い、ライヴ盤にもして…

アル中病棟入院記101

・3月29日(月)曇りときどきにわか雨 「年輩で家族に恵まれているほど治療の成功率は高いといわれる。独身の一人暮しで親族とも疎遠だとその逆、要するに精神的にも生活面でも例のHALT(hungry,angry,lonely,tired)に陥りやすいわけだ。その点でもKdさんはアル…