人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

中原中也

1中原中也「冬の長門峡」「渓流」昭和12年(1937年)

中原中也・明治40年(1907年)4月29日生~ 昭和12年(1937年)10月22日没(享年30歳)、逝去1年前 冬の長門峡 長門峡(ちやうもんけふ)に、水は流れてありにけり。 寒い寒い日なりき。 われは料亭にありぬ。 酒酌(く)みてありぬ。 われのほか別に、 客とてもなかり…

中原中也「無題」昭和5年(1930年)

中原中也・明治40年(1907年)4月29日生~ 昭和12年(1937年)10月22日没(享年30歳) 無題 I こひ人よ、おまへがやさしくしてくれるのに、 私は強情だ。ゆうべもおまへと別れてのち、 酒をのみ、弱い人に毒づいた。今朝 目が覚めて、おまへのやさしさを思ひ出しな…

高橋新吉「中也像」昭和34年(1959年)

高橋新吉・明治34年(1901年)1月28日生~昭和62年(1987年)6月5日没(享年86歳) 中也像 スペインの宮廷画家ヴエラスケスに 中原中也像がある 中也は白痴では決してなかつたが ヴエラスケスは 手の短い男が足を投げ出している無頼な姿を描いている 三百年以前に…

北原白秋の童謡詩(「赤い鳥」「からたちの花」「ペチカ」)

北原白秋(1885-1942)は大正7年(1918年)7月に鈴木三重吉が創刊した児童芸術誌「赤い鳥」の童謡欄を担当し、毎号、のちに山田耕筰らに作曲されて人口に膾炙されることになる童謡詩を発表しました。白秋は現代詩、訳詩、軍歌、歌謡詩、短歌、長歌、俳句など漢詩…

伊東静雄詩集『わがひとに與ふる哀歌』(昭和10年=1935年刊)その4(完)

(伊東静雄明治39年=1906年生~昭和28年=1953年没>) 『わがひとに与ふる哀歌』(発行・杉田屋印刷所/発売・コギト発行所、1935年=昭和10年10月5日発行) 病院の患者の歌 あの大へん見はらしのきいた 山腹にある 友人の離室(はなれ)などで 自分の肺病を癒さうと…

伊東静雄詩集『わがひとに與ふる哀歌』(昭和10年=1935年刊)その3

(伊東静雄明治39年=1906年生~昭和28年=1953年没>) 前回ご紹介した杉本秀太郎『伊東静雄』(筑摩書房・昭和60年=1985年刊)は1冊を費やして伊東静雄(明治39年=1906年12月10日生~昭和28年=1953年3月12日没)の第1詩集『わがひとに與ふる哀歌』全編の注釈に徹し…

佐藤春夫詩集『我が一九二二年』全篇(大正12年=1923年刊)

(佐藤春夫明治25年=1892年生~昭和39年=1964年歿>) 『詩文集・我が一九二二年』 大正12年(1923年)2月18日・新潮社刊・装画=岸田劉生 我が一九二二年 佐藤春夫 目次 秋刀魚の歌 秋衣の歌 憂たてさ 浴泉消息 或る人に 冬の日の幻想 同心草拾遺 つみ草 別離 龍…