ヒッチコック Hitchcock
ついにヒッチコックの劇場用映画全監督作品も最終回で、'70年代の最晩年の2作『フレンジー』と『ファミリー・プロット』でヒッチコックの監督歴は締めくくられることになります。ヒッチコックはさらにスパイ・サスペンス小説『みじかい夜』(ロナルド・カーク…
前作『マーニー』はヒッチコック作品としては少々焼き直しの印象もあるものでしたが、意外なショーン・コネリーの好演もあって『白い恐怖』と『めまい』の焼き直し風とはいえ見応えのある作品でした。しかし『マーニー』から2年を置いた『引き裂かれたカーテ…
ヒッチコック映画の中には他に例がない作品というべきものもたくさんありますが、サスペンス・スリラーの巨匠の地位を不動にしてからも『間違えられた男』などは犯罪サスペンス映画と言っていいのかひたすら冤罪を耐え抜く主人公の話ですし、犯罪サスペンス…
今回は2本立てだったらこれほど豪華な組み合わせはない、と言っていい2本で、『北北西に進路を取れ』は製作費400万ドルに対し興行収入1,700万ドルの成績を上げ、ヒッチコック自身がイギリス時代の代表作『三十九夜』'35のアメリカ版(ピーター・ボグダノヴィ…
アメリカ映画でセミ・ドキュメンタリーと呼ばれる実録・実話調の劇映画が作られるようになったのはヘンリー・ハサウェイの『Gメン対間諜』'45が嚆矢で、同作のプロデューサーのルイス・デ・ロシュモントは続いてハサウェイに『マドレーヌ通り十三番地』'46を…
前作『泥棒成金』で書き落としていましたが、連続宝石盗難事件の真犯人探しに濡れ衣を着せられた主人公ケーリー・グラントの協力者になるのが宝石の保険会社の冴えない初老の社員(ジョン・ウィリアムズ、『ダイヤルMを廻せ!』の名警部役の人)なのも原作小説…
ヒッチコック監督作品通算40作目の『裏窓』ほど文句なしにこれほど広く愛されている映画もないでしょう。ヒッチコックには他にも知名度が高く名作・傑作と呼べるスリリングな作品が当然いくつもありますし、『裏窓』の時点ですでに巨匠の名をほしいままにし…
ついに今回でヒッチコック(ほぼ)全作品感想文も第20回、第38作『私は告白する』、第39作『ダイヤルMを廻せ!』までで長編映画38作、戦争プロパガンダ短編2作をご紹介することになります。「ほぼ」というのはヒッチコックには唯一のオムニバス映画の合作参加…
ヒッチコック映画通算第36作、ハリウッド進出からは13作目で自分自身のプロダクションを構えフリーの映画監督になってからの3作目が『舞台恐怖症』です。ハリウッド進出後のヒッチコック作品には日本劇場未公開(テレビ放映と映像ソフト発売のみ)が現在でも3…
あまりに当たり前で普段は意識しないことですが、劇映画・ドキュメンタリーを問わず映画はたいがい数十~数百のカットを編集して作られています。最近の長編アニメーション映画では2時間の長さで2,000カットを超えることもあるようですが、2時間の映画の場合…
前作『白い恐怖』からヒッチコック作品も戦後公開作品に入り、第32作『汚名』からは製作も戦後の作品になります。第33作『パラダイン夫人の恋』でヒッチコックはセルズニック・スタジオの専属契約監督契約を満了し、第34作(次回紹介)の『ロープ』からは自分…
新年第5回目のヒッチコック映画感想文でようやく今年2018年になってから観直した日付に切り替わりました。まずイギリス盤DVD(60分)とドイツ盤DVD(74分)が出ている監督デビュー作『快楽の園』'25を、第1回では60分版を観たので今回は74分版を観て、前回は紹介…
新年第4回でようやくヒッチコック作品感想文も昨年観た分、監督第30作目の『救命艇』とイギリス情報省依頼のフランス向け対独レジスタンスのプロパガンダ映画の短編2作にたどり着きました。『救命艇』はヒッチコックの純粋な戦争映画としては商業長編映画で…
新年第3回のヒッチコック映画感想文は(観たのは昨年ですが)、太平戦争中の作品のため公開が戦後に遅れた2作です(といっても、戦前日本公開されたヒッチコック作品は『暗殺者の家』'34、『三十九夜』'35、『間諜最後の日』'35の3作だけですが)。戦後もヒッチ…
ヒッチコック作品は第38作『私は告白する』'53まで日本ではパブリック・ドメイン作品になっており、そのうち21作は、前回ご紹介した通りワンコイン以下の価格の激安DVDで国内盤が出ています。ファーストトレーディング社からは「ヒッチコック劇場 作品集 全2…
新年最初の映画日記は昨年観た分の続きです。12月1日から本国公開順に観始めて2作ずつ感想文を書いて載せてきましたが、年末年始休みを挟んだ結果偶然に昨年までに載せた第11回でイギリス時代のヒッチコック作品がひとまずきりがつき、この第12回からはちょ…
イギリス人映画監督ヒッチコックのデビュー作以来のイギリス時代の作品も今回でひとまず最後になります。ひとまずというのは、ハリウッド進出後(1939年3月~)のヒッチコックもまだアメリカの市民権を持っていなかったので(1955年取得)第二次世界大戦末期の'4…
フランソワ・トリュフォーによるロング・インタビュー(というより監督対談)でヒッチコックはトリュフォーと「文学作品の傑作の映画化は無意味だからやらない、たとえば『罪と罰』とか」と意見が合って盛り上がっていますが、本音かよトリュフォーというのは…
前作『暗殺者の家』'34の国内外での大ヒットで、それまでイギリス国内でのヒットにとどまってきたヒッチコックは一躍海外市場での興行収入も見込める映画監督として認められ、犯罪サスペンス/スリラー路線で監督デビュー10年目、第18作にしてようやくヒッチ…
会社との関係悪化でブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズ社を辞めたヒッチコックは、助監督時代から'27年の監督第5作まで在籍したゲインズボロー映画社でヒッチコックの担当プロデューサーだったマイケル・バルコンを頼ってバルコンが移ってい…
ヒッチコックのイギリス時代はフリーランスの本数契約になるハリウッド進出後と違って社員契約監督でしたから、助監督~監督第5作『ふしだらな女』'27まではゲインズボロー映画社、監督第6作『リング』'27~今回の監督第15作『第十七番』'32までがブリティッ…
第6回の今回までで採り上げたヒッチコックの監督第12作『殺人!』、第13作『スキン・ゲーム(いかさま勝負)』にいたる12作品の中で、後年ヒッチコックのトレードマークとなる犯罪スリラー/サスペンス映画は『下宿人』'26、『恐喝(ゆすり)』'29、そして今回の…
今回からようやくヒッチコックのトーキー映画時代が始まります。今日では映画は音声つき、またカラーなのが当たり前になりましたが、劇映画が定着してから20年近く映画はサイレントだったので(カラー映画もテレビの普及までは必ずしも映画には求められません…
ヒッチコックのサイレント映画時代の作品も今回の2作『シャンパーニュ』『マンクスマン(マン島の人々)』が最終回になりました。それぞれどういう性格の作品か(どのような意図の企画だったか)は、この2作についてはポスターに如実に表れているので、感想文よ…
前作『ふしだらな女』までヒッチコックはマイケル・バルコンのゲインズボロー社の監督でしたが、今回の『リング』からはブリティッシュ・インターナショナル・ピクチャーズに移籍した監督作品になります。よくある契約形態ですがヒッチコックの初期作品は会…
ヒッチコック28歳、監督デビュー3年目の第4長編『ダウンヒル(下り坂)』'27と第5長編『ふしだらな女』'27はヒッチコック自身はあまり気に入っていないと発言しており(『ヒッチコック/トリュフォー 映画術』)、第3長編『下宿人』'26から再びデビュー作『快楽の…
イギリス出身の映画監督アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)の劇場用劇映画監督作品はイギリス時代にサイレント作品8作(実際は10作ありますがこのうち第2作は散佚作品なので現存作品は9作になり、第9作はサイレント版とトーキー版の2通りが作られて通常ト…