人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

#映画監督

映画「復活」(D・W・グリフィス, 1909)

復活 Resurrection (Biograph Company, 1909.5.20) Silent, B&W, 12mins (originally Speed Screening : 15mins) : https://en.wikipedia.org/wiki/Resurrection_%281909_film%29?wprov=sfla1https://youtu.be/SOl6KhNULCw?si=JnZzPip_7Vyp_YTRhttps://yout…

シャンタル・アケルマン(1950-2015)の映画

(シャンタル・アケルマン、2012年) ベルギー出身のポーランド系ユダヤ人女性映画監督シャンタル・アケルマン(Chantal Akerman, 1950-2015)の日本劇場公開作品はメジャー資本で完成された『ゴールデン・エイティーズ』'86(リオ主演のアイドル・ミュージカル映…

映画日記2018年1月26日・27日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(27)完

ついにヒッチコックの劇場用映画全監督作品も最終回で、'70年代の最晩年の2作『フレンジー』と『ファミリー・プロット』でヒッチコックの監督歴は締めくくられることになります。ヒッチコックはさらにスパイ・サスペンス小説『みじかい夜』(ロナルド・カーク…

映画日記2018年1月24日・25日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(26)

前作『マーニー』はヒッチコック作品としては少々焼き直しの印象もあるものでしたが、意外なショーン・コネリーの好演もあって『白い恐怖』と『めまい』の焼き直し風とはいえ見応えのある作品でした。しかし『マーニー』から2年を置いた『引き裂かれたカーテ…

映画日記2018年1月22日・23日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(25)

ヒッチコック映画の中には他に例がない作品というべきものもたくさんありますが、サスペンス・スリラーの巨匠の地位を不動にしてからも『間違えられた男』などは犯罪サスペンス映画と言っていいのかひたすら冤罪を耐え抜く主人公の話ですし、犯罪サスペンス…

映画日記2018年1月20日・21日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(24)

今回は2本立てだったらこれほど豪華な組み合わせはない、と言っていい2本で、『北北西に進路を取れ』は製作費400万ドルに対し興行収入1,700万ドルの成績を上げ、ヒッチコック自身がイギリス時代の代表作『三十九夜』'35のアメリカ版(ピーター・ボグダノヴィ…

映画日記2018年1月18日・19日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(23)

アメリカ映画でセミ・ドキュメンタリーと呼ばれる実録・実話調の劇映画が作られるようになったのはヘンリー・ハサウェイの『Gメン対間諜』'45が嚆矢で、同作のプロデューサーのルイス・デ・ロシュモントは続いてハサウェイに『マドレーヌ通り十三番地』'46を…

映画日記2018年1月16日・17日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(22)

前作『泥棒成金』で書き落としていましたが、連続宝石盗難事件の真犯人探しに濡れ衣を着せられた主人公ケーリー・グラントの協力者になるのが宝石の保険会社の冴えない初老の社員(ジョン・ウィリアムズ、『ダイヤルMを廻せ!』の名警部役の人)なのも原作小説…

映画日記2018年1月14日・15日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(21)

ヒッチコック監督作品通算40作目の『裏窓』ほど文句なしにこれほど広く愛されている映画もないでしょう。ヒッチコックには他にも知名度が高く名作・傑作と呼べるスリリングな作品が当然いくつもありますし、『裏窓』の時点ですでに巨匠の名をほしいままにし…

映画日記2018年1月12日・13日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(20)

ついに今回でヒッチコック(ほぼ)全作品感想文も第20回、第38作『私は告白する』、第39作『ダイヤルMを廻せ!』までで長編映画38作、戦争プロパガンダ短編2作をご紹介することになります。「ほぼ」というのはヒッチコックには唯一のオムニバス映画の合作参加…

映画日記2018年1月10日・11日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(19)

ヒッチコック映画通算第36作、ハリウッド進出からは13作目で自分自身のプロダクションを構えフリーの映画監督になってからの3作目が『舞台恐怖症』です。ハリウッド進出後のヒッチコック作品には日本劇場未公開(テレビ放映と映像ソフト発売のみ)が現在でも3…

映画日記2018年1月8日・9日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(18)

あまりに当たり前で普段は意識しないことですが、劇映画・ドキュメンタリーを問わず映画はたいがい数十~数百のカットを編集して作られています。最近の長編アニメーション映画では2時間の長さで2,000カットを超えることもあるようですが、2時間の映画の場合…

映画日記2018年1月6日・7日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(17)

前作『白い恐怖』からヒッチコック作品も戦後公開作品に入り、第32作『汚名』からは製作も戦後の作品になります。第33作『パラダイン夫人の恋』でヒッチコックはセルズニック・スタジオの専属契約監督契約を満了し、第34作(次回紹介)の『ロープ』からは自分…

映画日記2018年1月4日・5日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(16)

新年第5回目のヒッチコック映画感想文でようやく今年2018年になってから観直した日付に切り替わりました。まずイギリス盤DVD(60分)とドイツ盤DVD(74分)が出ている監督デビュー作『快楽の園』'25を、第1回では60分版を観たので今回は74分版を観て、前回は紹介…

映画日記2017年12月29日・30日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(15)

新年第4回でようやくヒッチコック作品感想文も昨年観た分、監督第30作目の『救命艇』とイギリス情報省依頼のフランス向け対独レジスタンスのプロパガンダ映画の短編2作にたどり着きました。『救命艇』はヒッチコックの純粋な戦争映画としては商業長編映画で…

映画日記2017年12月27日・28日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(14)

新年第3回のヒッチコック映画感想文は(観たのは昨年ですが)、太平戦争中の作品のため公開が戦後に遅れた2作です(といっても、戦前日本公開されたヒッチコック作品は『暗殺者の家』'34、『三十九夜』'35、『間諜最後の日』'35の3作だけですが)。戦後もヒッチ…

映画日記2017年12月25日・26日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(13)

ヒッチコック作品は第38作『私は告白する』'53まで日本ではパブリック・ドメイン作品になっており、そのうち21作は、前回ご紹介した通りワンコイン以下の価格の激安DVDで国内盤が出ています。ファーストトレーディング社からは「ヒッチコック劇場 作品集 全2…

映画日記2017年12月23日・24日/アルフレッド・ヒッチコック(1899-1980)のほぼ全作品(12)

新年最初の映画日記は昨年観た分の続きです。12月1日から本国公開順に観始めて2作ずつ感想文を書いて載せてきましたが、年末年始休みを挟んだ結果偶然に昨年までに載せた第11回でイギリス時代のヒッチコック作品がひとまずきりがつき、この第12回からはちょ…

歌と踊りの『ガールズ&パンツァー』

今回ご紹介する『ガールズ&パンツァー』(ガールズ アンド パンツァー、GIRLS und PANZER)は2012年10月~12月と2013年3月に放送された全12話+総集編2話のテレビアニメ。名作と名高く、2014年夏に長編OVAの続編があり、2015年11月21日公開の「ガールズ&パンツ…

アメリカ喜劇映画の起源(13)マルクス兄弟1

チャップリンのキャリアは前回まででようやく半分にすぎず、『黄金狂時代』が分水嶺となって本格的な長編時代が始まるのですが、それにはハロルド・ロイドとバスター・キートンの短編時代~初期長編に触れなければ、チャップリンだけを特別視することになり…

アメリカ喜劇映画の起源(12)チャップリン5

ユナイテッド・アーティスツ第一作『巴里の女性』からはチャップリンは創作意欲と作品の規模に見合った制作ペースの自由も手に入れて、数年に一作が許される巨匠になります。シリアス作品『巴里の女性』から始まり、ここからのチャップリンは喜劇映画であっ…

アメリカ喜劇映画の起源(11)チャップリン4

1918年初頭にはチャップリンは自己所有のチャップリン撮影所を設立、前年にパラマウントから分裂し、全米一の上映館数を誇った大メジャーのファースト・ナショナル社からの移籍第一作が中編『犬の生活』で、この年は軍隊喜劇の『担え銃』もあり、以下、 ・19…

アメリカ喜劇映画の起源(10)チャップリン3

1914年(25歳)の映画デビューから1917年(28歳)までに62本の短編と一本の長編に出演、そのうち1915年以降の短編26本ではキャスティングからタイトル、オリジナル脚本まで完全な決定権を手中にしたのですから、20代後半のチャップリンの勢いは映画史上でも稀に…

アメリカ喜劇映画の起源(9)チャップリン2

チャップリンは映画界入り二年目の1915年には早くもエッサネイ社に移籍、同社では一年間に短編14本を自作自演します。前年のキーストン社では一年間で長編一本と短編35本に出演しており、つまり10日に一本で短編を制作していたのが、移籍後は月一本強のペー…

アメリカ喜劇映画の起源(8) チャップリン1

アメリカが世界を征する映画大国になったのは1910年に最初にロサンゼルスに撮影所が建てられ、15年のグリフィスの三時間を越える大作『国民の創生』が長編映画初の舞台劇の記録映画とは異なる映画独自の表現手法を実現してそれまで国際的にヒットしていたイ…

アメリカ喜劇映画の起源(7)

10枚組廉価盤DVDボックス『爆笑コメディ劇場』(コズミック出版)は、前回でチャップリンの三枚とロイドの二枚を解説しました。今回はキートンの三枚とマルクス兄弟の二枚です。 キートンとマルクス兄弟の評価が定まったのは全盛期の人気も凋落し、すでに彼ら…

アメリカ喜劇映画の起源(4)

映画の家庭用ソフト化もビデオテープからDVDになるて急激に商品製作がコストダウンされました。DVDのプレスはテープのようなダビングではなく、CD同様単なるデータ印刷ですから工程やコストも少ない。その上、50年以上経過した作品は著作権保護対象外になっ…

アメリカ喜劇映画の起源(2)

初期の映画は無論モノクローム・サイレントで、トーキー映画は1928年、テクニカラーは1938年に実用化されました。60年代末までモノクローム映画も並存したのは三層式テクニカラー・フィルムが高価で撮影技術も困難なのと、60年代末に一層式のイーストマン=…

D・リチー「映画理解学入門」

初版1984年、キネマ旬報社刊。初版のタイトルは「映画のどこをどう読むか-世界の10本の傑作から・映画理解学入門」で、2006年にスタジオジブリから再刊され「ジブリLibrary-映画理解学入門」とすっきりしたタイトルになった。昔なら篠田一士「20世紀の10大…

ドライヤー『裁判官』『あるじ』

カール・Th(テホ)・ドライヤーと書くだけで気合いが違う気がする。デンマークの巨匠といえばラース・フォン・トリアーではなくこの人だった。活動歴はサイレント期からヌーヴェル・ヴァーグの時代にまでおよぶ。 かつて大島渚が「やはり映画作家はフィルモグ…