映画
廉価版ボックスセット『フランス映画パーフェクトコレクション』の『ジャン・ギャバンの世界』既刊3集には数本の日本初DVD化・世界初DVD化作品が収録されていましたが、今回ご紹介するサッシャ・ギトリ監督、ミシェル・シモン主演の日本未公開作品『毒薬』'5…
この『フランス映画パーフェクトコレクション』は基本的な選択基準は映画のサウンド・トーキー化以降のパブリック・ドメイン(著作権期限切れ)作品、つまり'30年~'53年までのフランス映画の著名作を集めたものですが、著名作必ずしも名作とは限らず、またそ…
いやあ観た観た。これを書いている現在では『フランス映画パーフェクトコレクション』の『天井桟敷の人々』『巴里の屋根の下』『舞踏会の手帖』の3集・30作を全部観直し終えているのですが、『フランス映画パーフェクトコレクション~ジャン・ギャバンの世界…
9月にまとめて観たコスミック出版の10枚組DVDボックス『フランス映画パーフェクトコレクション』既刊3集は『フランス映画パーフェクトコレクション~ジャン・ギャバンの世界』既刊3集の続刊で、『天井桟敷の人々』『巴里の屋根の下』『舞踏会の手帖』の3集が…
映画(舞台劇)はヒットせず、どちらかと言えば不評だったのに、主題歌(または挿入歌)はスタンダード化するロング・ヒットになった例は、レコード歌曲のオリジナル盤がヒットせずカヴァー盤がヒットして有名楽曲になった例と同じくらい調べてみると案外多いの…
マルセル・カルネの戦時下の作品『悪魔が夜来る』'42には今回散々な感想文を書いてしまったくらい観直して面白くなかったのですが、あれは自分でも不本意で感想文を書くくらいなら映画の場合に限らず良いところを見つけてこそで、『悪魔が夜来る』の場合はそ…
これまで有名作品がずらりと並んだ『フランス映画パーフェクトコレクション』でも今回の2作はグッと地味で、たまたま本国公開年月日を調べて年代順に観てきたところこの2作が並んだのですが、かたやジャック・ベッケル、かたやサッシャ・ギトリとフランス映…
この映画日記感想文は始めた頃は簡潔に映画1本に数行~十数行、短く感想だけを書いていたのですが、加齢現象とは怖いもので徐々に長くなり、というのも歳を取ると次にいつ同じ映画を観直す機会が来るか心許なく、今回は観直す機会を得たものの次はあるのかと…
前回の2作『アタラント号』と『ミモザ館』も相当な取り合わせでしたが、今回の『舞踏会の手帖』と『ゲームの規則』も負けず劣らずどころかまったく対照的な運命を背負った2作で、本国公開翌年に日本公開された『舞踏会の手帖』は翌年日本公開された『望郷』'…
パブリック・ドメイン作品を集めたコスミック出版の廉価版10枚組DVDボックス『フランス映画パーフェクトコレクション』は『ジャン・ギャバンの世界』の既刊3集も、おそらくフランス本国ですらここまで集めたものはないと思われる、ジャン・ギャバンの主演・…
おおむね質の良いマスターを使って十分満足できる画質の『フランス映画パーフェクトコレクション』の中で、単品発売が高価で品薄になっているルノワールの傑作『素晴らしき放浪者』'32は多少落ちる画質で、これでも気にするほど悪くはなくアメリカ版の正規盤…
今回ご紹介しているコスミック出版の書籍扱い廉価版10枚組DVDボックス『フランス映画パーフェクトコレクション』は、同社から2007年に刊行されてロングセラーになっていた『フランス映画名作コレクション』2巻が下敷きになっており、先に2016年12月~2017年1…
パブリック・ドメイン映画を廉価版DVD10枚組のボックス・セット(書籍扱い流通)で毎月2セット、リリースしているコスミック出版からのDVDは、今年4月にも『フランス映画パーフェクトコレクション~ジャン・ギャバンの世界』第1集~3集の全30本を観直しました…
ついつい前回はドライヤーの前作『怒りの日』'43について「個人の嗜好を超えた傑作」と大上段な言い方をしてしまいましたが、各種映画評投稿サイトを見るとドライヤーの『怒りの日』、『奇跡』'55、『ゲアトルーズ』'64の3作は案外「面白くない」「好きにな…
前作で最後のサイレント作品になった第9作『裁かるゝジャンヌ』'28も監督カール・Th・ドライヤーはトーキー作品にしたい希望でしたが、機材面での製作技術上の困難と、まだヨーロッパ映画界ではトーキー作品への移行が本格化しておらず上映設備を導入する映…
この映画日記には初めて観る映画のことは書かず(テレビ放映映画などもけっこう観ていますし、中古盤や輸入盤で購入して――2駅以内にレンタル店が1軒もなく、また観たい映画はたいがいレンタル店に置いていないか、交通費より買った方が安くつく映画ばかりなの…
マルクス兄弟の映画は、本格的映画デビューとなったパラマウントから5作('29年~'33年)、MGM移籍後に5作あり('35年~'41年)、それにチーム解散記念作品である独立プロ製作、ユナイテッド・アーティスツ配給の『マルクス捕物帖』'46の11作が日本劇場公開もさ…
映画人としてのマルクス兄弟の現役期間は存在感の大きさの割には短く、'29年の『ココナッツ』から'33年の『吾輩はカモである』までのパラマウントでの5作、'35年の『オペラは踊る』から'41年の『マルクス兄弟デパート騒動』の5作、'46年の独立プロによるユナ…
サウンド・トーキー時代になってから映画デビューしてサイレント喜劇に代わる新しいトーキー時代の喜劇映画スターになったチームがマルクス兄弟です。マルクス兄弟と同時期の喜劇映画スターにはローレル&ハーディやW・C・フィールズも上げられますが、サイ…
キートンはMGMとの契約終了以降36編の短編、3作の長編主演作があるそうですが、アメリカでの短編はいずれも長編の添え物扱いの余興的作品として製作・公開され、長編3作はフランスで1作、イギリスで1作、メキシコで1作といった具合でアメリカではずっと後に…
トーキー以降のキートン主演映画は出来自体はごく平均的な同時代のアメリカ娯楽映画の水準とも言えて、'30年代初頭のトーキー作品は一部の傑出した監督の作品、トーキーへの順応が上手かった監督の作品、企画が上手くいった作品以外はサイレント時代後期の'2…
今回からのキートンは前回同様のMGM映画社移籍後のキートンが監督権を与えられずMGMの製作体制の中で作られたもので、今回の『キートンのエキストラ』がキートンの初サウンド・トーキー作品になります。一般にキートンはサイレント映画時代の喜劇俳優とされ…
いやあ観た観た、1週間毎日ガメラ映画を1本ずつ観るなどこれまでなかっただけに、「初期数作をピークに子供向けの怪獣映画化して先細りしていったガメラ映画シリーズ」などという誤った認識不足を反省する良い機会になりました。直前にゴジラ映画シリーズか…
第7作『ガメラ対深海怪獣ジグラ』'71で大映倒産のため一旦シリーズの終わりを迎えるまでのガメラ映画中でこの1本、というくらい人気が高いのは今回ご紹介する第3作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』でしょう。筆者の記憶では同作はテレビ放映頻度もシリーズ…
今回からは大映の「ガメラ」シリーズを第1作『大怪獣ガメラ』'65、第2作『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』'66、第3作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』'67、第4作『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』'68、第5作『ガメラ対大悪獣ギロン』'69、第6作『ガメラ対大魔獣…
前2回で第6作までのゴジラ映画の概要はおおよそ紹介しましたので、以降はどんな作品が続いたかを列挙します。まず第7作と第8作の監督は福田純(1923-2000)が担当し、'66年(昭和41年)12月17日公開の第7作『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』は観客動員数4…
さてようやく、本格的な怪獣対決路線のゴジラ映画の時代がやってきました。ここからカラー、ワイドスクリーンにもなり、東宝のドル箱作品だけあってレストアされた現行の映像ソフトではVHSテープやLD時代以上に素晴らしい画質を堪能できるのは嬉しいことです…
この分野はちょっと独特なので下手なことを書くと石が飛んできそうで怖いですが、特撮映画には特殊な愛好者層があって、一般映画の観客の感覚とは異なる評価基準が働いているらしく大らかなのかシビアなのかよくわからないところがあります。また特撮といっ…
チャップリン、キートンと並ぶ喜劇王ハロルド・ロイドの長編映画作品を追ってきたこの感想文も今回が最後で、まだあとロイドの長編には引退作『ロイドのエヂプト博士』'38と、戦後に1作きりの復帰作でプレストン・スタージェス監督の『ハロルド・ディドルボ…
ついに長編12作目にしてハロルド・ロイド作品もトーキーの時代に踏み込みました。これは新しい娯楽に飢えていた観客にはめでたいことでしたが、サイレント作品で素晴らしい映画作りをしてきたロイドにとっては時代の趨勢へ屈したかたちでもありました。外的…