人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ヌーヴェル・ヴァーグとその周辺

ポリンキーは三人組だった!

自宅病気療養中で一日に自炊二食(二食で約1,000kgcal)と食の細い筆者は、小腹が空いた時のために栄養補助食品やチョコレート、スナック菓子を常備していますが、特に好みもない(ただしポップコーンは苦手なので避けます)ので近所のドラッグストアでセール中…

シャンタル・アケルマン(1950-2015)の映画

(シャンタル・アケルマン、2012年) ベルギー出身のポーランド系ユダヤ人女性映画監督シャンタル・アケルマン(Chantal Akerman, 1950-2015)の日本劇場公開作品はメジャー資本で完成された『ゴールデン・エイティーズ』'86(リオ主演のアイドル・ミュージカル映…

映画日記2019年5月13~15日/蔵原惟繕(1927-2002)と日活映画の'57~'67年(5)

昭和29年('54年)に戦後ようやく製作再開を果たした日活(明治45年='12年設立)がメジャー5社(松竹・東宝・大映・東映・新東宝)に並ぶ業績を上げるようになったのは昭和31年('56年)の『太陽の季節』と石原裕次郎主演作『狂った果実』に始まる太陽族映画のヒッ…

映画日記2019年5月10~12日/蔵原惟繕(1927-2007)と日活映画の'57~'67年(4)

昭和39年('64年)、日本の映画界は最大のピンチを迎えました。日本の映画人口が史上最大を記録したのは昭和33年('58年)で12億2,745万人、年間映画観覧数人口比12.3倍となり日本人一人当たり年に12.3回映画を観ていたことになりますが、翌昭和34年('59年)から…

映画日記2019年5月7~9日/蔵原惟繕(1927-2002)と日活映画の'57~'67年(3)

これだけは恥ずかしい懐メロ曲の筆頭に上がるのはGS歌謡の代表曲「小さなスナック」、デュエット曲なら「銀座の恋の物語」なのは昭和生まれの日本人なら誰しもが知ることで、歌っている本人は楽しくても聴かされる方は恥ずかしくて仕方がないからですが、意…

映画日記2019年5月4~6日/蔵原惟繕(1927-2002)と日活映画の'57~'67年(2)

今回の3作中鈴木清順作品は米Criterion社のDVDボックス『Nikkatsu Noir』2009収録、蔵原惟繕の2作はやはり同社のDVDボックス『The Warped World of Koreyoshi Kurahara』2011で世界初DVD化されたもので、公開時もほとんど注目されず再上映の機会も少なく、従…

映画日記2019年5月1~3日/蔵原惟繕(1927-2002)と日活映画の'57~'67年(1)

今年はロイドとキートンの短編サイレント喜劇、小林正樹監督作品、アステアのミュージカル映画にソヴィエト連邦末期のパラジャーノフ監督作品、長編アニメのしんちゃん映画、サイレント時代のソヴィエト映画の古典プドフキンとドヴジェンコの代表的三部作と…

映画日記3月30日・31日/最後の民族地方主義ソヴィエト映画監督セルゲイ・パラジャーノフ(1924-1990)作品(後)

アメリカの古典映画復刻会社Kino Video社のセルゲイ・パラジャーノフ(Sergei Parajanov, 1924-1990)作品4作品を収めたボックス・セット『The Films of Sergei Parajanov』の外箱には一文がパラジャーノフへの讃辞として印刷されています。"In The Temple of …

映画日記2019年3月28日・29日/最後の民族地方主義ソヴィエト映画監督セルゲイ・パラジャーノフ(1924-1990)作品(前)

旧ソヴィエト連邦、グルジア出身の映画監督セルゲイ・パラジャーノフ(Sergei Parajanov, 1924-1990)はスターリン独裁体制前のソヴィエト映画黄金時代の大監督オレクサンドル・ドヴジェンコ(1894-1956)が教鞭を執る全ロシア映画大学に学び、初期の長編第1作『…

映画日記2019年2月27日・28日/アラン・レネ(1922-2014)の初期4長編(後)

アラン・レネの長編劇映画は初期4作がとにかく論争を呼ぶ話題作で同時代のヨーロッパの映画監督にも少なからず影響力を誇った作品だったので、第5作『Je t'aime, je t'aime』'68が出品予定だった同年のカンヌ国際映画祭の映画人のストライキによって開催中止…

映画日記2019年2月25日・26日/アラン・レネ(1922-2014)の初期4長編(前)

アラン・レネ(1922-2014)はヌーヴェル・ヴァーグ関連のフランス監督ではエリック・ロメール(1920-2010)と並んで年長者だった人ですが、晩年まで現役感が強かった存在で、ヌーヴェル・ヴァーグに先立って'50年代~'60年代のヨーロッパ映画を先導したアントニ…

映画日記2018年10月30日~31日/『地下鉄のザジ』『気のいい女たち』

最近廉価版DVDが再発売されたので久しぶりにルイ・マル(1932-1995)とクロード・シャブロル(1930-2010)の1960年度作品を観直してみました。マル作品は『沈黙の世界』'56(ジャック=イヴ・クストーと共同監督のドキュメンタリー、カンヌ国際映画祭グランプリ)…

映画日記2018年5月29日~31日/セルビアの大島渚?ドゥシャン・マカヴェイエフ(1932-)の'60年代作品

旧ユーゴスラビア(現セルビア)、ベオグラード出身の映画監督ドゥシャン・マカヴェイエフ(1932-)は短編映画の監督を経て'65年の『人間は鳥ではない』で長編デビュー、カンヌ国際映画祭で注目を集め、第2作『愛の調書、又は電話交換手失踪事件』'67も西側諸国…

映画日記2017年11月29日・30日/エリック・ロメール(1920-2010)の初期作品(3)

ロメールの連作「六つの教訓話」にはだいたい共通したパターンがあり、そろそろ結婚でもして落ちつこうかという青年が本命と定めた女性を見つけますが、そちらが進展する前に他の女性と知りあってよろめいてしまうも、踏みとどまって先に決めた女性の方へ戻…

映画日記2017年11月27日・28日/エリック・ロメール(1920-2010)の初期作品(2)

ここから先の4作は長編劇映画が続きます。「六つの教訓話」シリーズもようやく長編を作る環境が整ったということで、シリーズ初の長編『コレクションする女』は長編デビュー作『獅子座』の製作から8年、公開から5年かかってやっと実現したロメールの長編劇映…

映画日記2017年11月25日・26日/エリック・ロメール(1920-2010)の初期作品(1)

エリック・ロメールの長編劇映画監督デビュー作は1962年本国(フランス)公開の『獅子座』ですが、日本初一般公開作品は1983年の長編第10作『海辺のポーリーヌ』(1985年6月公開)でした。ロメールの存在自体は早く知られ、映画批評誌『カイエ・デュ・シネマ』の…

映画日記2017年8月25日~26日/グラウベル・ローシャ(1938-1981)の革命映画(後)

今回のグラウベル・ローシャ作品後編は長編劇映画第4作『アントニオ・ダス・モルテス』'69と第10作で遺作となった『大地の時代』'80をご紹介します。『アントニオ・ダス・モルテス』と『大地の時代』の間の長編劇映画には『切られた首』'70(ブラジル)、『七…

映画日記2017年8月22日~24日/グラウベル・ローシャ(1938-1981)の革命映画(前)

1960年代ブラジル映画のシネマ・ヌォーヴォ(ニュー・ウェイヴ/ヌーヴェル・ヴァーグ)を代表する映画作家グラウベル・ローシャ(1938-1981)はブラジル、バイーア州生まれ。10代で映画監督を志望し、郷里を舞台にした1962年発表の第1長編『バラベント』がカルロ…

映画日記2017年6月18日・19日/初期のヌーヴェル・ヴァーグ作品(4)

前3回ヌーヴェル・ヴァーグ作品を観直してきて、流れから言えば今回はエリック・ロメールの長編第1作『獅子座』'63を選びたいところですがロメール作品はいずれまとめて観直したいと思いまたの機会にしました。『獅子座』は後のロメール作品からさかのぼると…

映画日記2017年6月16日・17日/初期のヌーヴェル・ヴァーグ作品(3)

まずこの6月末にジャック・リヴェットの第1長編『パリはわれらのもの』が日本盤初ソフト化されたのを喜びたいと思います。映画批評誌「カイエ」派生え抜きのヌーヴェル・ヴァーグ監督の5人は、長編デビュー順ではシャブロルの『美しきセルジュ』が'58年、ト…

映画日記2017年6月14日・15日/初期のヌーヴェル・ヴァーグ作品(2)

日本で初めて話題になったヌーヴェル・ヴァーグの作品は広義にはルイ・マルの『死刑台のエレベーター』やロジェ・ヴァディムの『大運河』だそうですが、これらは現在ではヌーヴェル・ヴァーグ作品とは考えられていないので、カイエ派出身監督と限定する厳密…

映画日記2017年6月12日・13日/初期のヌーヴェル・ヴァーグ作品(1)

ヌーヴェル・ヴァーグと言っても21世紀の現在ではどれだけ通用するのかわかりませんが、少なくとも1980年代にはまだ映画青年にとってはまばゆい憧れをかきたてられるフランス映画の系列でした。'50年代後半~'60年代のヌーヴェル・ヴァーグは映画誌「カイエ…

2017年映画日記4月27日~4月30日/シャンタル・アケルマン(1950-2015)の'70年代監督作品

(短編インタビュー「Too Far, Too Close」1995 : https://youtu.be/_l5atWYkWsE - 6:11min時のスチール写真のアケルマン) ベルギー出身のポーランド系ユダヤ人女性映画作家シャンタル・アケルマン(1950-2015)の日本劇場公開作品はメジャー資本で製作されたリ…

2017年映画日記4月23日~4月26日/ヴィム・ヴェンダース(1945-)の三部作+1

ヴィム・ヴェンダース(1945-)の1980年代の日本でのにわか人気は今では当時を知らない人にはちょっと想像もつかないくらい絶大なものでした。それは非常に影響力の強い批評家の絶賛に煽られてヴェンダースを褒めないと見識を疑われるような風潮になり、折りよ…

2017年映画日記4月19日~4月22日/フランソワ・トリュフォー(1932-1984)の自伝的連作

フランソワ・トリュフォー(1932-1984)の自伝的連作、ジャン=ピエール・レオー(1944-)演じるアントワーヌ・ドワネルのシリーズは20年、長編4作・短編1作に渡って同一監督が同一俳優を実年齢通りに描いていった他にあまり類を見ない連作ですが、シリーズの構…

映画日記2017年1月16日~20日・吉田喜重(1933-)の初期5作

松竹出身の映画監督・吉田喜重には1960年の監督デビュー作『ろくでなし』1960から現時点での最新作『鏡の女たち』2003まで19作の長編劇映画があります。同監督は松竹の若手監督登用方針によって助監督から監督へ昇進した大島渚に続き、篠田正浩らとともに助…

映画日記2017年1月11日~15日・大島渚(1932-2013)の初期5作

松竹出身の映画監督・大島渚には監督デビュー作の『愛と希望の街』(原題『鳩を売る少年』)1959から遺作となった『御法度』1999まで23作の長編劇映画があります。70年代には5作、80年代は『戦場のメリークリスマス』と『マックス・モン・アムール』、90年代に…

シャンタル・アケルマンの映画

ベルギー出身のパリ在住映画作家シャンタル・アケルマン(Chantal Ackerman/写真上・1950-)は初期には女性として(しかもレズビアンとして)、ユダヤ人として(祖父母の代は強制収容所で虐殺された)、またフリーランスの自主映画作家である被差別をテーマにモチ…

追悼ヴェルナー・シュレーター

昨年4月に亡くなっていたのを昨晩偶然に知った。Werner Schroeter(1945-2010・写真上)、ドイツの映画監督。ヴェルナー・ファスビンダーの証言では、70年代の独ニュー・シネマは自分も含めてほとんどがシュレイターの革新性から出発したという。日本で人気の…