人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

#映画レビュー

映画日記3月30日・31日/最後の民族地方主義ソヴィエト映画監督セルゲイ・パラジャーノフ(1924-1990)作品(後)

アメリカの古典映画復刻会社Kino Video社のセルゲイ・パラジャーノフ(Sergei Parajanov, 1924-1990)作品4作品を収めたボックス・セット『The Films of Sergei Parajanov』の外箱には一文がパラジャーノフへの讃辞として印刷されています。"In The Temple of …

映画日記2019年3月28日・29日/最後の民族地方主義ソヴィエト映画監督セルゲイ・パラジャーノフ(1924-1990)作品(前)

旧ソヴィエト連邦、グルジア出身の映画監督セルゲイ・パラジャーノフ(Sergei Parajanov, 1924-1990)はスターリン独裁体制前のソヴィエト映画黄金時代の大監督オレクサンドル・ドヴジェンコ(1894-1956)が教鞭を執る全ロシア映画大学に学び、初期の長編第1作『…

映画日記2019年3月25日~27日/フレッド・アステア(1899-1987)のミュージカル映画(9)

フレッド・アステアは映画デビューから'53年の『バンド・ワゴン』まで27作のミュージカル映画出演作があり、コスミック出版の廉価版9枚組DVDボックス『ミュージカル・パーフェクトコレクション~フレッド・アステア』全3集には'50年の『レッツ・ダンス』を除…

映画日記2019年3月22日~24日/フレッド・アステア(1899-1987)のミュージカル映画(8)

前作『イースター・パレード』の大成功で華々しく映画復帰したフレッド・アステアは『バンド・ワゴン』'53まで7作の主演作に出演します。つまり今回と次回で『バンド・ワゴン』までのフレッド・アステア作品紹介は一応終わるのですが、以降のアステアのミュ…

映画日記2019年3月19日~21日/フレッド・アステア(1899-1987)のミュージカル映画(7)

コスミック出版の9枚組DVDボックス『ミュージカル・パーフェクトコレクション』の『フレッド・アステア』全3集に収められているのはパブリック・ドメインになっている『バンド・ワゴン』'53までの作品で、『バンド・ワゴン』はアステアの出演映画第27作です…

映画日記2019年3月16日~18日/フレッド・アステア(1899-1987)のミュージカル映画(6)

フレッド・アステア出演作も今回の3作で18作までをご紹介することになりますが、主演14作目の『晴れて今宵は』'42はRKO映画社専属から離れてフリーランスになってからの3作目『踊る結婚式』You'll Never Get Rich (Columbia'41)の姉妹作と言って良いリタ・ヘ…

映画日記2019年3月13日~15日/フレッド・アステア(1899-1987)のミュージカル映画(5)

アメリカ公開1940年2月9日、日本公開昭和15年8月の前作『踊るニュウ・ヨーク』はアステア映画で日本の太平洋戦争敗戦前まで最後の日本公開作になったので、年度順でご紹介しているアステア映画は今回以降戦後になってから日本公開される(または未公開に終わ…

映画日記2019年3月10日~12日/フレッド・アステア(1899-1987)のミュージカル映画(4)

売り上げだけが映画の価値を決めることにはならないのは当然ですが、ダンサー兼歌手というタレント性から映画俳優になったフレッド・アステアの場合、芸能人としての性格の強さからどうしても人気の推移が直接映画の興行収入に反映するのはいたしかたありま…

映画日記2019年3月7日~9日/フレッド・アステア(1899-1987)のミュージカル映画(3)

昔のことわざに「神輿(みこし)は軽くて馬鹿がいい」とありますが、アステア映画を続けて観ていると映画は素晴らしいのに主役のアステアはどうも軽い。顔が空豆みたいだとか笑うと表情が極端に左右非対称になるとか、そもそも粋人で洒落者ではあっても、超人…

映画日記2019年3月4日~6日/フレッド・アステア(1899-1987)のミュージカル映画(2)

この感想文を書いている段階ですでに10作を超えるアステア映画を年代順に観直し進めているのですが、1作ごとにそれぞれ違う趣向を凝らしてあるとは言え、アステア映画は基本がミュージカルになるわけです。アステアが性格俳優としてミュージカル以外の映画に…

映画日記2019年3月1日~3日/フレッド・アステア(1899-1987)のミュージカル映画(1)

フレッド・アステア(1899-1987)の出演映画はミュージカル映画が34作、一般映画が8作ありますが、ミュージカル映画のうち『ザッツ・エンタテインメント』'74、『ザッツ・エンタテインメント 'パート2』'76、『ザッツ・エンタテインメント パート3』'94は過去…

映画日記2019年2月27日・28日/アラン・レネ(1922-2014)の初期4長編(後)

アラン・レネの長編劇映画は初期4作がとにかく論争を呼ぶ話題作で同時代のヨーロッパの映画監督にも少なからず影響力を誇った作品だったので、第5作『Je t'aime, je t'aime』'68が出品予定だった同年のカンヌ国際映画祭の映画人のストライキによって開催中止…

映画日記2019年2月25日・26日/アラン・レネ(1922-2014)の初期4長編(前)

アラン・レネ(1922-2014)はヌーヴェル・ヴァーグ関連のフランス監督ではエリック・ロメール(1920-2010)と並んで年長者だった人ですが、晩年まで現役感が強かった存在で、ヌーヴェル・ヴァーグに先立って'50年代~'60年代のヨーロッパ映画を先導したアントニ…

映画日記2019年2月23日・24日/小林正樹(1916-1996)監督作品(12)

今回で現在DVD発売されて手軽に観ることのできる小林正樹の監督作品はひと通り観てきた(観直してきた)ことになります。小林正樹の監督作品はDVD化がなかなか進まず2000年代初頭に『人間の條件(三部作)』『切腹』『怪談』『上意討ち 拝領妻始末』『化石』『東…

映画日記2019年2月21日・22日/小林正樹(1916-1996)監督作品(11)

ご当地映画はいつの時代でもたいがいは喜ばれるもので、'90年代以降は地方自治体をスポンサーにつけて映画製作しようというのがさかんですが、これは'70年代~'80年代に企業をスポンサーにして映画製作しようというのがバブル後には頭打ちになってしまったた…

映画日記2019年2月19日・20日/小林正樹(1916-1996)監督作品(10)

前作『切腹』'62でカンヌ国際映画祭審査員賞・キネマ旬報ベストテン3位を獲得し絶頂期に入った小林正樹は、プロデューサーともども10年来の企画で小林自身が学生時代から愛読していたイギリス人の帰化文学者、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン、1850-1940)の『…

映画日記2019年2月17日・18日/小林正樹(1916-1996)監督作品(9)

小林正樹の映画についての唯一の単行書文献は生前1冊もなければ、没後も20年あまりを経て生誕100年の2016年にようやく刊行された生前のロング・インタビュー、全作品データと論評、資料を集成した小笠原清・梶山弘子編『映画監督 小林正樹』(岩波書店・平成2…

映画日記2019年2月15日・16日/小林正樹(1916-1996)監督作品(8)

小林正樹の監督作品が初めて国際的な映画祭で受賞したのがこの『人間の条件』'59-'61で、1962年の完結後にヴェネツィア国際映画祭の審査員特別賞に相当するサン・ジョルジオ賞・イタリア批評家賞を受賞しました。世界最大の映画産出国はアメリカ合衆国ですが…

映画日記2019年2月13日・14日/小林正樹(1916-1996)監督作品(7)

大作『人間の條件』の『第三部望郷篇、第四部戦雲篇』はいよいよ主人公が召兵されてからの物語で、「第三部望郷篇」では初年兵教育の非人間的で残忍極まりない実態を初年兵で二等兵の主人公が経験する中で自殺に追いこまれる初年兵、残忍な上等兵、ソ連国境…

映画日記2019年2月11日・12日/小林正樹(1916-1996)監督作品(6)

完成度や芸術性、瑕瑾を越えて圧倒的な代表作になっている作品を持つ創作家は幸運というもので、映画化された時点で累計1,000万部に迫るセールスを記録していた大ベストセラーの自伝的長編小説『人間の條件』'56-'58(昭和31~33年刊、全六部)の作者・五味川…

映画日記2019年2月9日・10日/小林正樹(1916-1996)監督作品(5)

昭和31年(1956年)は小林正樹が監督デビューから5年目にしてようやく第一線監督と認知された年と言ってよく、2月に通算第8作・長編7作目の『泉』が公開され、10月にはずっと公開無期延期されていた第2長編『壁あつき部屋』'53が一般公開され、11月には初めて…

映画日記2019年2月7日・8日/小林正樹(1916-1996)監督作品(4)

これまでも小林正樹監督作品は題材の割には尺が長いのではないかと感想を書いてきましたが、通算第5作・長編4作目の『この広い空のどこかに』'54でようやく小林作品は1時間50分を均衡が取れて充実した内容で満たすことができた観があります。続く今回の2作『…

映画日記2019年2月5日・6日/小林正樹(1916-1996)監督作品(3)

監督第3作で松竹の正式な監督昇進後の最初の作品『壁あつき部屋』'53(公開'56年、前回紹介)の公開無期延期は、大平洋戦争勃発前(大東亜戦争はすでに泥沼化していましたが)の戦前の昭和16年春すでに松竹に入社していながら半年ほどですぐ徴兵され、敗戦後も任…

映画日記2019年2月3日・4日/小林正樹(1916-1996)監督作品(2)

小林正樹は木下惠介監督作品のチーフ助監督を昭和23年('48年)の戦後第7作(通算第11作)『破戒』(12月公開)から昭和28年('53年)の戦後第17作(通算21作)『日本の悲劇』(6月公開)まで勤めていますから、監督デビュー作になった昭和27年('52年)の併映用の45分の実…

映画日記2019年2月1日・2日/小林正樹(1916-1996)監督作品(1)

小林正樹(1916-1996)という映画監督は晩年極端に存在感を失い、没後も再評価らしい再評価もなく全盛期の名声を知る人(または知った人)に地味に観続けられているだけで、ひょっとしたら日本映画ベスト100などの投票からも洩れてしまうかもしれません。松竹へ…

映画日記2019年1月30日・31日/サイレント短編時代のバスター・キートン(7)

キートンの主演長編映画は'20年9月公開の主演・監督・脚本デビュー作の短編「文化生活一週間」の翌月10月に『馬鹿息子』がありましたが、同作はブロードウェイのヒット舞台劇の映画化で監督も製作のメトロ映画社側のハーバート・ブラシェであり撮影・完成も…

映画日記2019年1月28日・29日/サイレント短編時代のバスター・キートン(6)

今回の2編で'22年度の7作のキートン短編のご紹介は終わり、あとは'23年度の短編「キートンの空中結婚(キートンの昇天)」(1月公開)、「捨小舟」(3月公開)でキートンのサイレント時代の短編は終わり『滑稽恋愛三代記(キートンの恋愛三代記)』 The Three Ages (…

映画日記2019年1月25日~27日/サイレント短編時代のバスター・キートン(5)

前回の3編「キートンの船出」「キートンの白人酋長」そして「キートンの警官騒動」が揃ってキートンらしい奇想と悪夢感、さらに完成度のいずれも完備した傑作だっただけに、今回ご紹介する3編はややこぢんまりとした出来(「キートン半殺し」「キートンの鍛冶…

映画日記2019年1月22日~24日/サイレント短編時代のバスター・キートン(4)

今回の3編「キートンの船出(漂流)」「キートンの白人酋長(キートンの酋長、キートンのハッタリ酋長)」「キートンの警官騒動」はいずれも傑作です。まだ短編全部を観直し終わっておらず、前回の感想文ではキートンの短編で傑出した作品として「文化生活一週間…

映画日記2019年1月19日~21日/サイレント短編時代のバスター・キートン(3)

バスター・キートン3回目の今回はある意味ふり出しに戻った回で、短編第7作の「キートンのハイ・サイン」は公開順は7編目ですがキートンがジョセフ・スケンク・プロダクション内で先輩コメディ・スターのロスコー・"ファッティ"・アーバックル作品の助演・助…