人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2012-06-01から1ヶ月間の記事一覧

(4)ナポリといえばオザンナ!

イタリアン・ロック第四回はまだまだ大物が続く。PFM、バンコ、アレアの三大バンドより好きだ、思い入れがあるという人も多いようだ。オザンナとニュー・トロルスがそういった次点バンドの筆頭にあげられる。先にオザンナから取り上げるのは、「オザンナ・フ…

アラン・レネ「夜と霧」1955

一度は見ておかなければならない映画、と誰もが言う。筆者もそう思った。それがアラン・レネの短篇ドキュメンタリー「夜と霧」1955で、アウシュヴィッツを検証する題材と手法は世界的に話題作となり大きな衝撃を与え、カラー・B&W・32分のこの作品がヌーヴェ…

(3)地中海ジャズロック・アレア

アレアは実際はヴォーカリストと楽器担当メンバーのセッションによって曲を固める、あくまでも民主的なバンドだった。だが79年にヴォーカリストのデメトリオ・ストラトスが白血病で急逝すると、間もなくバンドは活動を休止する。アレア(Area,1973-1978)は人…

鬱の波がやってきた

自転車に猫が載っている。運転は出来ないだろうから「載って」だ。これはフランスの70年代バンド「エトロン・フー・ルルーブラン」訳すと「狂気の白い狼」というふざけた猟奇的グループのファースト・アルバムのジャケットで、筆者はこういうジャケットが好…

(2)バンコ・政治性と音楽性の同居

イタリアン・ロック第二回はバンコ(Banco,1972-)、正式にはバンコ・デル・ムットゥ・ソッソルコで「共済組合銀行」を指すらしいが、PFMの世界デビューを成功させたマンティコア・レーベルからの世界デビュー作「イタリアの輝き~バンコ登場」1975(画像4) 以…

ジャック・フェデール「面影」

芸術運動には「あとひとりだれだっけ?」という人が結構多い。ロシア五人組でキュイの曲は聞いたことがない。フランス六人組はプーランクの歌曲とオネゲルの交響曲しか知らない。 「フランス古典主義詩的リアリズム五大作家」という、なんかむかつく映画史上…

(1)イタリアの潮風・P.F.M

フランス、旧西ドイツに続き70年代のイタリアのロックをご紹介したい。日本のユーロ・ロックの愛好家がもっとも好むのがイタリアン・ロックで、それこそ重箱の隅まで発掘されている。しかも日本に根強い愛好家がいることから逆輸入のかたちで欧米でも再評価…

(6)妄想と思考障害(双曲性障害編)

筆者は双曲性障害1型で、最新(といっても10年前)の統計によると1サイクルで鬱期間32パーセント・軽躁/躁期間10パーセント・躁鬱混合期間6パーセント・寛解期間52パーセントとなる。この1サイクルが半年か2年か5年か、問題の発生しやすい躁の期間を軽減または…

最終回(14)クラウス・シュルツェ

ジャーマン・ロック(14)は最終回に相応しい大物、クラウス・シュルツェ(Kraus Schulze,デビュー1970-)で締めたい。元タンジェリン・ドリーム、元アシュ・ラ・テンペル、元コズミック・ジョーカーズを経てソロという経歴だけでもジャーマン・ロック創成期生き…

「ドレミファ娘の血は騒ぐ」1985

この映画について教えてほしいと質問があった。この作品の製作時には生まれてもいない少女からである。「ついでだから記事にして明日掲載しましょう。ユーザー・ガイドとして客観的に書けば★★がやっとですね。ただし洞口依子の主演作ということでは絶大な価…

(13)ノイ!、クラスター

今回のタイトルは「ノイ!、クラスター、ハルモニア」としたかったが長くて入らなかった。画像はそれぞれの代表作、 ○ノイ!「ノイ!」1971(画像1) ○クラスター「2」1972(画像2) ○ハルモニア「ハルモニア」1974(画像3) になる。大まかに言えばクラフトワーク…

グリフィス「イントレランス」

映画史上初の長篇劇映画「国民の創生」1915で大ヒットを飛ばし、一躍世界映画の最前線に立ったD.W.グリフィスだが、次作「イントレランス」1916は長さこそ前作(3時間)よりスリムだが(それでも2時間45分)あらゆる点で前作を凌駕するスケールの作品となった。D…

(12)ヴァレンシュテイン、ほか

販促のためとはいえ、名盤の薫り漂うこのジャケットはやりすぎ、反則ではなかろうか。実際はヴァレンシュテイン(Wallenstein,1972-1981)の傑作は第四作「コズミック・センチュリー」1973だがジャケがしょぽい。そこで内容は次点だがジャケの美しい「ストーリ…

(5)妄想と思考障害(混合病棟)

単科の精神病院が山奥にあるのは珍しくない。F病院もY病院もそうだった。大きな違いはF病院では男女別で閉鎖病棟がほとんど、Y病院では男女混合で開放病棟がほとんどだった。これは病棟内の風紀の乱れに如実に反映した。Y病院では施錠していない面会室…

(11)ヘルダーリン

ジャーマン・ロック第11回目はドイツには珍しい抒情派プログレッシヴ・ロック(シンフォニック・ロックとも呼ばれる)バンド、ヘルダーリン(Holderlin,1972/Hoelderlin,1975-)。この名はロマン派の詩人から借りたものだが、同様のシンフォニック(クラシカル)・…

療養日記・6月7日木曜・晴れ

起きると暖かい日だったので寝起きの服薬・一服のあとユニットバスに湯を張り、朝のうちに入浴済ませる。床が濡れると面倒なので浴槽で体を洗い、湯を抜いて全身をシャワーで流す。あまりのびのび入った気がしない。でも宿無しよりはマシだ。借り暮らしのア…

(10)アシュ・ラ・テンペル

これで10回目(全14回で完結予定)となった70年代ジャーマン・ロック紹介。予想はしていたがフレンチ・ロック紹介のほぼ倍だ。しかも次にひかえるイタリアン・ロック(やりますよー)は数が読めない。なんの情報も残さず1枚きりの傑作を出して忽然と消えたバンド…

療養日記・6月6日水曜・雨

今日は雨ふりだからブログのプランでも立てよう。自分で自分に宿題出すのは面倒だが、これも在宅療法だから仕方ない。宿題さえ決まれば毎日それをコツコツやれば済む。ボブ・ディラン訳詞集や高橋新吉詩集「戯言集」分載は楽しかった。ジョン・レノン全曲集…

(9)ポポル・ヴー

第9回はポポル・ヴー(Popol Vuh,1971-2001)を取り上げる。まずジャケットの美しさには目を見張らずにはいられない。ヴーのアルバムは25作ほどあるが、そのどれもが推薦アルバムと同等の美しいジャケットに包まれている。 ヴーの解散は自然消滅で、リーダーの…

療養日記・6月5日火曜・曇り

今朝の散歩中に駅前のスリーエフ店頭で発見した。これまで燕の巣の変遷は、 ○平塚信用金庫の庇(09年まで)→改装 ○資生堂・接骨院に二ヶ所(10年・11年)→改装 で今年はどうしているのか危ぶんでいたのだ。先月の初め頃記事にしたと思う。いま歳時記を開いてみた…

ファウストのアルバム画像

○透明ヴィニール・ジャケットのデビュー作「ファウスト」1971(画像1) ○イラスト9枚入り黒ジャケットの第二作「ソー・ファー」1972(画像2) (以上独ポリドール) ○「テープス」1973(ドイツ時代の未発表録音から廉価盤販促用の急造アルバム・メンバー未公認) ○「…

(8)ファウスト

メンバー写真もプロフィールも一切不明。人数も担当楽器も不詳。西ドイツでコミューン生活を送りながら透明ヴィニール・ジャケットのデビュー作「ファウスト」1971とイラスト9枚入り黒ジャケットの第二作「ソー・ファー」1972をパトロンのウヴェ・ネッテルベ…

療養日記・6月4日月曜・晴れ

今日は受診日だった。昼食後昼寝をして5時間眠る。楽しみにしている平日4時からの「Yes!プリキュア5」(MXテレビ)、「相棒」(テレビ朝日)の再放送-録画機器を持っていないのでその日の気分で見る-も起き出す気にならない。 ぼくは愛しあっていた頃の妻の夢…

ジャーマン・ロック(7) グル・グル

ジャーマン・ロックもこれで7回目。まだまだ重要グループがある。今回はグルグル(Guru Guru,1970-)として、ファウスト、ポポル・ヴー、アシュ・ラ・テンペル、クラウス・シュルツ、ヘルダーリン、ノイ!、クラスター、ヴァレンシュタイン、ノヴァリス。最後…

(4)妄想と思考障害(妄想婆さん)

筆者は双曲性障害1型(躁鬱病)だが、経験では重躁では妄想、重鬱では幻覚が生じる。厄介なのは重躁・重鬱に躁鬱混合状態まで現れる時で、これも大別して躁鬱同時と頻繁な躁鬱交代があって、すると幻覚と妄想のサイクルから病状は負のスパイラルに向う。 今回…

(6)アモン・デュールll

前史で述べた通り、アモン・デュールは元々バンドではなくヒッピーのコミューンだった。だから全3作(と発掘録音2作)は作品というよりアシッド・パーティのドキュメントとして制作されたと言える(正確には「サイケデリック・アンダーグラウンド」「崩壊」の2…

(3)妄想と思考障害

「お忙しいところ失礼します。『妄想と思考障害』へのコメントありがとうございました。精神疾患と妄想の文献を読み、この記事やリコメを書き、今まで接してきた人たちを思い出すと、しばらくこのテーマを掘り下げたくなりました。そこで今回のリコメから流…

(5)アモン・デュール

ここまで取り上げたジャーマン・ロック70年代バンドはどれも国際的な成功をおさめており、さらに倍するグループが数えられる。フレンチ・ロックや(ジャーマンの次に紹介するが)イタリアン・ロックとはえらく違う。フランスやイタリアのロックバンドで国際的…

(2)妄想と思考障害

前回のおさらい。 (1)牛丼には紅しょうがが載っている (2)紅しょうがが載っている飯は牛丼である (3)ちらし寿司は牛丼である さて、ナースステーションに服薬しに来たタイミングの悪さで妄想型統合失調症患者T(ミスター・オクレ似)の「相談」に取っ捕まった…

ジャーマン・ロック(4)カン

ジャーマン・ロック最重要バンドかもしれない。カン(1969-)はギターのミヒャエル・カローリが故人のため活動は散発的なものになっているが、バンドの看板を降ろしてはいないのだ。この6月にも未発表3枚組ボックスの発売が予定されている。カンの評価はレトロ…