人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

#35.承前『イエスタデイズ』

前回触れたチャージ・バック制をとっているライヴハウスやジャズクラブはだいたい小規模で、テーブルやカウンター席で30人未満、パイプ椅子や立ち見にして40人~50人、という程度の店が多い。ロック系のバンドは二組~四組くらい組んで知りあいを呼ぶからお…

法医学としての精神医学

現在でこそ薬物療法と行動認知療法(自分の症状を学習することで症状への不安を軽減し、主要な不安を取り除く)が主流の精神疾患治療ですが、その起点は法医学としての犯罪心理学にあります。19世紀心理学から20世紀初頭のドイツ心理学の精神分析療法に至り、…

#34.承前『イエスタデイズ』

マイルス・デイヴィスの古いライヴ映像を観ると、先発ソロを終えたマイルスはジョン・コルトレーンのソロのあいだ、ステージ袖に引っこんでスタッフと雑談しながら煙草を一服している。これは元ボスのチャーリー・パーカーに習った、とマイルス晩年の自伝に…

祝日のお買い物(短文)

祝日の午前中はスーパーめぐりをしてきました。収穫がこれ(画像1)。生鮮食品以外は来月五日の支給日前日分まで買ってきました。 ちなみにエコバッグはつい先日にいただきものの、これ(画像2)を使いました。提げ紐が長いので肩かけもできて便利です。マチの幅…

#33.承前『イエスタデイズ』

どこまで書いたっけ?そうだ、セットリスト会議だった。お店から二時間半の枠をもらったなら、休憩を挟んで一時間を二セットが妥当だろう。第一部は予定通りこなし、第二部は撤収時間までやればいい。今回は西島さんというプロの妙齢美人ピアニストもいる(た…

精神病棟にて・非常ベル☆おばあさん

(この女性のことも以前書いたが、興味深いので改めて書きたい)。 妄想患者Tの話と同じ書き出しになるが、ぼくと同室のKは二階の入院患者ながら、就寝前の服薬は三階のナースステーションに行くことになっていた。要するに夜勤では慢性症状の入院患者が多い…

#32.承前『イエスタデイズ』

本当はこのシリーズは始める前は一回一曲でサラッとまとめるつもりだった。 「でも一曲一回じゃとても終りません」とぼくは訪問看護のアベさんに言った。「誰の演奏をCDで聴いて、いろんな人のヴァージョンを聴き、曲の来歴を調べ、そのうち演奏したくなり、…

玉子パックの思い出

訪問看護のアベさんはぼくの病名診断が双極性障害1型と変わり、入院を終えて病気の性質上デイケア等も無理、と診断されてから、病状観察と早期発見・予防のためにお願いすることになった。2009年秋のことだから満四年になる。もっとも2011年の3月までにはぼ…

#31.承前『イエスタデイズ』

前回で筆者は、 「リー・コニッツとチャーリー・ヘイデンによるアルトサックスとベースのデュオ・ヴァージョンの『イエスタデイズ』(画像2)が、オーネット・コールマン・カルテットの(ヘイデンはそれのオリジナル・ベーシストだった)『ロンリー・ウーマン』(…

アベさんと文学談義

今日の訪問看護のアベさんは、ぼくが長期的に安定した状態なので嬉しそうだった。これまで料理ができなかったのは火や刃物がこわい以外にも自分だけのために料理することの虚しさもあったが、今のぼくは積極的に自炊している。虚しさを感じることもない。 「…

#30.『イエスタデイズ』

…リー・コニッツとチャーリー・ヘイデンによるアルトサックスとベースのデュオ・ヴァージョンの『イエスタデイズ』(画像2)が、オーネット・コールマン・カルテットの(ヘイデンはその、オリジナル・ベーシストだった)『ロンリー・ウーマン』(画像3)を意識した…

精神病棟にて・患者Tの妄想

(この男の記事は以前も書いたが、興味深いので再び書きたいと思う)。 ぼくと同室のKは二階に入院していたが、就寝前の服薬は、三階のナースステーションに行くことになっていた。服薬して引き返そうとすると、娯楽室の隅から三階の患者T(推定50歳)に相談が…

#29.承前『イエスタデイズ』

ジェローム・カーン作曲の『イエスタデイズ』で面白いのは、一見AA'BA''32小節のありふれた小唄だが、A'の末尾2小節から転調しBの末尾で転調した調がわかる、という構造になっていて、長三度転調というのはありそうであまりない。具体的にはA部はDm、B部はG7…

再録・危機的状況下でのパニック発作

先日の記事で参考にしたのは「家族のためのパニック障害サポートブック」という良くできた小冊子(患者から見ても納得)ですが、とりあえず頻繁なパニック発作を克服できただけでも前進です。 躁鬱病を抱えているから完治ではなく、1~2か月に一度程度はパニッ…

#28.承前『イエスタデイズ』

『スウィート・アンド・ラヴリー』録96(画像2)の前に(と言っても22年前だが)リー・コニッツにはとびきり優れたデュエット・アルバム「アイ・コンセントレイト・オン・ユー」74(画像3)があった。これはたぶんアルトサックス奏者にはもっとも取り組み甲斐のあ…

通院/療養日記・10月7&8日(月・火)快晴

昨日は携帯電話の充電が端子部分の接触不良で電池切れと充電を繰り返し、過去記事の再録をするのがやっとでした。ようやく充電が安定した頃には、もう書き下ろしは間にあわなかった次第です。うちはパソコンも固定電話もないから携帯電話はライフラインです…

#27.承前『イエスタデイズ』

世の中の音楽はベースとドラムス抜きのものはほとんどない。ソロ・ピアノなども打鍵楽器だからベースとドラムスの役割をひとりで演っているようなもので、ライヴを経験すれば(演奏する側でも、聴く側でも)ベースとドラムスの存在感の大きさは嫌でもわかる。…

再録・パニック障害(発作)について(1)

ぼく自身が、パニック障害(パニック発作)の経験者です。2004年秋から始まり、家庭生活末期の2006年末~2007年春に、肺炎と知人の自殺と躁鬱病の発症と共にピークを迎え、離婚後次第に回数を減らして2009年秋にほぼ終息しました。躁鬱病を抱えたままでは完治…

再録・訳詞「原子心母」B面より

今日はジャズ記事は休んでピンク・フロイドの訳詞。「見返りウシ」のジャケットで有名な「原子心母」'Atom Heart Mother'1970(図版上)は、A面の交響楽との競演が目玉だが、実はB面の小品集がいい。ニック・メイスンの曲はコラージュ音楽なので他のメンバー3…

訪問看護のアベさんは

さっきコンビニでコピーを撮ってきて、帰宅してから余白を切ってCDケースに収め-ぼくは親しい人に贈るために新しい版を買ったのだが、イタリアのロックバンドなのに曲目に邦題もついていない不親切な仕様なので、ぼくの持っている旧版CDの解説・訳詞カード…

#26.脱線『イエスタデイズ』

前回で、60年代後半のブリティッシュ・ロック界へのジャズの影響力として、マイルス・デイヴィス・クインテット、ジョン・コルトレーン・カルテット、オーネット・コールマン・カルテットを三大バンドとして上げた。チャールズ・ミンガスの音楽も同じくらい…

男の手料理・チャーハン編

最近ぼくの健康状態が訪問看護のアベさん(クマさん体型、糖尿)からは羨ましいほど良い。先月の血液検査結果などは、 「うわあっ!…いや、今のはあまりに良いので出てしまったうわあ、です」 全般的に良い中でも服薬していたり晩酌の習慣がある人には問題が生…

#25.承前『イエスタデイズ』

ぼくとKが唯一意識していたのはポール・チェンバース盤(画像2)の『イエスタデイズ』(参考ではない。あちらではテーマはチェンバースがアルコ=弓弾き奏法で演奏しておりギター、ピアノ、ベース、ドラムスという渋い編成で演っている)で、テンポとキーではこ…

通院日記・10月4日(金)曇り

今日は隔週通院の内科に出向いて採血検査を受けてきた。体重は着衣で65.0kg。昨夜は夜食を摂ったから中性脂肪は前回より高いかもしれない。実は待ち時間に先に体重測定した時は65.5kgだったのだがその後便意を催し、採血時にまた体重計に乗ったら65.0kgだっ…

#24.承前『イエスタデイズ』

『イエスタデイズ』はAABA型式32小節の小唄で、アベさんが「これだけなんですか!?」というのももっともだが、いわゆるスタンダード・ジャズの大半は24小節か32小節でできている。そのたった一枚の紙切れに納まる程度の五線譜からジャズマンは5分~10分、20分…

映画「愚なる妻」1922

昨日・おとといはこのブログ初期の(二年半前になる)記事の再録で済ませたくらいで、率直に言って疲れている。このブログはどの記事も1000文字と決めているが、今日は書くことがなくなったら(なくはないのだが、その気力がなくなったら)そこまでで切り上げよ…

#23.承前『イエスタデイズ』

『イエスタデイズ』では、ヴォーカル・ヴァージョンはビリー・ホリデイの「奇妙な果実」収録(同名アルバムが二種あり、39年版と52年版がある)が基本で、聴くたびにジャズ史上最高の大歌手だったな、と染み入る。声質や技巧ではおそらくエラ・フィッツジェラ…

殉教と冤罪(改稿再録)

冤罪というのは嫌な響きです。司法による秩序の維持には常に違犯者の取り締まりと法による裁きがあり、そこにはいつでも過誤が入り込む余地がある。特に思想史・政治史は冤罪の歴史と言ってもいいでしょう。時には法的な違犯すら行われるのはサダム・フセイ…

#22.承前『イエスタデイズ』

演奏したといっても『イエスタデイズ』は守屋くんと花ちゃんは休んで、ぼくとKのデュオ曲として取り上げた。アルトサックスと、ベースのデュオだけで演奏できるようになっていたからバンドの活動期でもかなり後期になる。ぼくとKはリー・コニッツとレッド…

精神病棟より・Mさんのこと(改稿再録)

-初めての入院が精神病棟だったから、ぼくにはどうしても拘置所と比較してしまうところがある。実際、急性症状で容態が鎮静するまで入れられる隔離室は、広さから天井の高さ、洋式便器とセンベイ蒲団しかないことまで(洗面台はないが)独居房とそっくりだ。…