人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ジョン・レノン全訳詞(12)

56『スターティング・オーヴァー』 '(Just Like)Starting Over' ぼくらふたりの人生はとびきりのもの ぼくらは成長してきた ぼくらは成長してきた ぼくらの愛は特別なものだけど またふたりきりで飛び立たないか どこかへ (アルバム「ダブル・ファンタジー」…

D.W.グリフィス「国民の創生」

「映画史上初の長篇劇映画」という知識はどのくらいの一般常識なのだろう?実際には解答にも諸説あって、重箱の隅をつつくような複数回答もあるのだが、内容・手法・規模・長さ・興行的成功・後世への画期的な影響力で確実にその条件を満たすのはこれだ。こ…

ジョン・レノン全訳詞(11)

51『夢の夢』 '#9 Dream' もう昔のこと あれは夢? あれは夢? でもぼくにはわかる そうぼくにはわかる あれは現実のよう ぼくには現実のようだった 熱く囁く木立を抜けて 通りを歩いていたら ぼくには聞こえてきた(聞こえた 聞こえた 聞こえた) だれかがぼ…

ヴィーネ「カリガリ博士」1919

チャップリン作品を除けばサイレント・B/W時代の映画の代名詞となるほどの知名度を誇るドイツ映画。それが「カリガリ博士」'Das Kabinet des Dr.Caligari'で、この映画の世界的ヒットは両大戦間の文化的事件と言ってよい。こんな病的な実験映画がなぜ見世物…

ジョン・レノン全訳詞(10)

46『愛を生きぬこう』 'Going Down On Love' 膝まずくんだ 膝まずけ 膝まずくんだ 膝まずけ 愛のため 愛のために もっともっともっと 現実までが変になり きみには手に負えない 愛する人が去ってもなんとかしていくんだ そして夜の灯りに狙いをつけろ きみに…

縞模様の霊柩車(連作3)

ハードボイルド三大作家といえばダシール・ハメット、レイモンド・チャンドラー、ロス・マクドナルドだが(ロバート・B・パーカーやジェームス・クラムリーらはぼくが中学生の時にはまだ新人だった)生前は通俗作家と見られていたハメットとチャンドラーが没…

ジョン・レノン全訳詞(9)

40『インテューイション』'Intuition' 名案がある、直感に頼るんだ 楽しもう、でもぼくは みんなの迷信などまるで 理解できやしない それじゃ自殺行為 毎日人生を楽しもうと 一生懸命なのに そして夜に悩みと闘えば 魔法の音楽がぼくに 希望をくれる 直感が…

ロード・サッチの霊柩車(連作2)

…救急車はあまりに快適で驚いた。赤信号も渋滞も退けているんだから運転がスムーズなのも当然だが、ベッドの枕が車体全体の中心の位置なので、頭への震動が一切ない。窓の覆いの隙間を流れる夜の灯りが色とりどりの虹のように綺麗だった。 救急車は快適だっ…

ジョン・レノン全訳詞(8)

34『マインド・ゲームス』 'Mind Games' ぼくらはマインド・ゲームで 壁を取り除き種を植える ぼくらはマインド・ゲリラを演じながら 世界に平和をもたらすマントラを追う ぼくらは永遠にマインド・ゲームを遊び続ける 異端教徒だってヴェールを脱ぐだろう …

エッケホモー(=この人を見よ)(連作1)

緑内障に進んでいないとは判ったがまだ遠視用眼鏡を作っていないので目がつらい。前々から釈明しているがこのブログ、リハビリ目的だからなにかとお勉強的な記事が多い。ぼくは雑学が飯の種だったからそんな知識は本物ではないことを痛感している。大学中退…

ジョン・レノン全訳詞(7)

30『血まみれの日曜日』 'Sunday Bloody Sunday' 血まみれの日曜日だった 人々は銃撃され 13人の殉教者の叫び声が フリーデリーの空気を満たした きみたちのなかにひとりでも彼らが 悪かったと思うか? 兵士たちは無傷だった 彼らは知らされなかった 葬儀が…

大島渚監督「少年」1969

ポピュラリティでは大島渚一世一代の名作かもしれない。それまでの大島作品は「日本春歌考」「無理心中・日本の夏」「絞死刑」「新宿泥棒日記」など一作一作趣向を凝らした作品ばかりだった(次の「少年」も含めて60年代後半5年間だけで10作)。 しかし執筆3年…

ジョン・レノン全訳詞(6)

27『女は世界の奴隷か!』'Women Is The Nigger Of The World' 女はこの世の黒人 そう黒人さ 考えてみなよ 女はこの世の黒人 考えてみなよ なにができるか おれたちは女に顔を塗らせて踊らせる 女が奴隷じゃなく恋もすると言えば 女が主張すれば男になりたい…

ベルイマン「仮面/ ペルソナ」

今までご紹介してきた映画は大体いやな感じの作品が多いが今回は格別で、18禁ばかりかはっきりと病んでいる。それもどこか胡散臭く、これはアート・ムーヴィーを装ったホラー映画なのではないかと思う。実際、スウェーデンの巨匠イングマル・ベルイマン(1918…

ジョン・レノン全訳詞(5)

22『真実が欲しい』 'Give Some Truth' もううんざりだ やつらの心と視野の狭さには 欲しいのは真実 真実をおくれよ 読み飽きたんだ神経症でスキゾイドで豚並みの頭脳の政治家の話は 欲しいのは真実 真実をおくれよ (アルバム「イマジン」B面より・抄訳) 23…

衣笠貞之助「狂った一頁」1926

新感覚派映画連盟・衣笠映画連盟制作、サイレント・B/W、70分(現存版59分)、1926年新宿武蔵野館公開(1975年リバイバル公開、併映「十字路」1928)。 「カリガリ博士」のヒットで世界的流行になった表現主義(反リアリズム・実験的)映画だが、作りたくても実験…

ジョン・レノン全訳詞(4)

17『イマジン』 'Imagine' 想像してごらん天国などないと その気になれば簡単さ 足元に地獄などなく 頭上には空があるだけ 想像してごらん人々みんなが 今日のために生きていると 想像してごらん国家などないと そんなに難しくはないさ 殺し殺されることもな…

療養三題噺(5月7日・月曜)

ライター時代に使った手で便利だったのが、文章構成を三題噺にするやり口だった。本来文筆家にプロもアマもないが、プロには書けない文章はない、とは言える。それにはやっぱり質量ともに並々ならぬ読書と膨大な作文経験があり、それなりの得意技を身につけ…

ジョン・レノン全訳詞(3)

11『思い出すんだ』 'Remember' 思い出せ若かった頃を ヒーローは決してつかまらず いつも逃げおおせたね 思い出せいつもあの男が きみのものを奪い去って とても悲しかったのを もしも気持が変えられて そんなことを忘れられるなら 思い出せ 思い出すんだ …

ドライヤー「裁かるるジャンヌ」

フランス、1928年・サイレント・B/W・オリジナル94分・再編集版82分。日本公開1929年・邦楽座。 極北の一本だろう。この手口は後にも先にも一度きりしか使えない。他のドライヤー作品は静謐で突き放したロング・ショットと長廻し主体となっている。ベルイマ…

ジョン・レノン全訳詞(2)

6『母』 'Mother' 母さん、ぼくはあんたのものだったけどあんたはぼくのものじゃなかった ぼくはあんたが欲しかったけどあんたはぼくが要らなかった だからぼくは言わなきゃならない さようなら さようなら 子どもたちよ、ぼくみたいな真似をしないでくれ ぼ…

訳詞「原子心母」B 面より

今回はピンク・フロイドの訳詞。見返りウシのジャケットで有名な「原子心母」'Atom Heart Mother'1970(図版上)はA面のオーケストラとの競演が目玉だが、実はB面の小品集が味わい深い。ニック・メイスンの曲はミュージック・コンクレートなので他のメンバー3…

ジョン・レノン全訳詞(1)

1『平和を我等に』 'Give Peace A Chance' 誰もが言うには あれズム これズム それズム だれズム なにズム あれイズムこれイズム イズムイズムイズム! おれたちが言いたいのは 平和にチャンスをってことだけさ おれたちが言いたいのは 平和にチャンスをって…

緑内障のお勉強(2)

(続き) Q・眼圧が正常なのに緑内障? A・最近では眼圧が正常範囲なのに視神経が障害される「正常眼圧緑内障」と呼ばれる緑内障も多いことがわかりました。日本人の緑内障の約7割がそうです。眼圧は正常範囲でも視神経は傷つきやすいので、眼圧を少しでも下…

緑内障のお勉強(1)

図版(上)はこれからテキストにする緑内障治療のパンフレット、図版(中)は一家に一枚サイケの定番ザ・フリーク・シーン「サイケデリック・ソウル」1967、図版(下)は緑内障の疑いありの筆者の左目。青みがかっているだろうか? さて、改めて広辞苑から引く。緑…

悲しいぞJB

図版(下)を音楽誌で見た時は悲しくなってしまった。あのJBがこれではただのじいさんではないか。雑誌を買って妻(当時)に見せた。「また家庭内暴力らしいよ」「また?」 「それでもこんな写真を公表してはいけない。つらくてしょうがない」 ああ、おれって…

老けたなブライアン

これが同一人物でこざいます。泣く子も笑うクイーンのブライアン・メイさん。YouTubeで10ccの映像ハシゴしてたら「ホークウィンドと10cc」というタイトルのインタビュー抜粋で出てきたのが図版(上)の、今年になってからのブライアン様の映像でした。 どこの…

連休7日目日記(5月4日金曜・曇り)

「男もつらいけど、おんなもつらいのよ」というのは矢野顕子の歌の歌詞、たしか「ラーメン食べたい」だったと思う。こないだ見たアニメの「テルマエ・ロマエ」では主人公の古代ローマ人が「夢だけど、夢じゃなかった!」と、これまた国民的に誰でもわかる(で…

緑内障日記1(5月3日木曜・雨)

昨日の記事では結局緑内障には触れずに終った。ブログ妹のすぎ子ちゃんからコメントが来た。 「同じ本を?ほう(ぼくがつきあった女には必ずチェーホフ「犬をつれた奥さん」を薦めたことを差す)。目は、早めに治療すれば失明延ばせるんでしょう?」 「ほう」…

連休5日目日記2(5月2日水曜・雨)

(5日目日記1から続く) 病棟は四つあり、三つは精神科、四つ目は精神科とアル中科混合。精神科のうち一つは女性病棟で、あと三つは男女混合。精神科もアル中科も基本的なコースは三ヶ月(精神科は一時退院後に通院し再入院の場合が多いが)。入退院時期が近いと…