2012-01-01から1年間の記事一覧
Cecil Taylor(1933-,piano)。この人はモンク、パウェル、トリスターノに次ぎ、ビル・エヴァンスと並ぶ最重要ピアニストだろう。後続のピアニストたちも彼らが拡げたジャズの可能性があればこそ活動し得たともいえる。ただしこの二人はまったく対照的なジャズ…
早朝覚醒も朝4時半で、しかも用事のある日ではつらい。二度寝では寝過ごすかもしれない。仕方なく寝床で昨夜、途中で眠ってしまった日本の70年代バンド・四人囃子の再結成ライヴの続きを見る。70分7曲はプログレッシヴ・ロック系としてはコンパクトだ。 見て…
Herbie Hancock(1940-,piano)。やっと現存者が出てきた。もっともハンコックに異論はないが、モダン・ジャズの巨匠25人に3人だけ現存者がいるというのも何か座りの悪いものがある。たとえばマイルス・バンドで同僚だったウェイン・ショーター(テナー・サック…
○コメントと断片より (1)現実には詐欺や差別、いじめの被害で苦しんでいる人が大勢いて、そうした悪をなす人はたいして個人的な罪悪感を抱いていない、という状況があります。民主主義国では医療で言う対症療法、発見されたら対処する、というやり方しかない…
スコット・ラファロ没後のエヴァンスの状態は暗膽たるもので、浪費癖から家賃まで使い込みアパートを追い出される、見るに見かねた所属レーベル(リヴァーサイド)のオーナーが臨時にレコーディングさせてギャラを与える、また家賃滞納で追い出される、また予…
ぼくはとりわけ丈夫でもないが、大病や怪我にあったこともない。だからH市F病院が45歳を過ぎての初入院になった。昏迷状態が続いていたのか、隔離室の天井の蛍光灯が虹色に渦巻いて見え、治療のための照明なのだろうか、と思ったのを覚えている。 3日目に…
Bill Evans(1929-1980,piano)。この人の影響力はバド・パウェル以来のもので、パウェル派バップ・ピアノが全盛の中でレニー・トリスターノとパウェルを止揚し、ホレス・シルヴァーを加えたスタイルでデビューし(「ニュー・ジャズ・コンセプションズ」1956)、…
○コメントと断片より (1)喉は渇くから水は飲みたい、蛇口はなんとかひねることができる。なのにコップが持てないんですよ。自分でも信じられなかった。力の加減や平衡感覚をコントロールできなくて、コップを水を飲む角度に傾けられない。仕方ないから縁から…
Wes Montgomery(1925-1968,guitar)。モダン・ジャズで最高のギタリストというと、ウェスでまず票は割れない。また、ジャズではギターは例外的に白人プレイヤー優勢の楽器だが、ウェスはチャーリー・クリスチャン以来の改革をなしとげた。それは「オクターヴ…
そもそも入院話自体、去年の夏に一度連載している。題材は当然同じになるが、書き方は変ってくるだろう。立ち寄ってくださる方もその頃の倍になっている。初めての方にも省略なく、以前からの方にも冗漫にならないようにしなくては。筆者のところはこういう…
中期~後期アイラーの楽歴を追う前に、避けては通れない話題を片づけておこう。アイラーの音楽活動は年収80万円にもならなかった。生前発表のアルバムは6年間で12枚、大半がオリジナル曲にもかかわらずレコードからの収入はほとんどなく、フリー・ジャズ系の…
○コメントと断片より (1)こういう突拍子もない勧誘メールもある、ということで記事にしました。本当にあの手この手という表現がぴったりですね。 (2)ぼくの場合は、躁が重い時も鬱が重い時もほとんど眠れません。疲れている時電車で眠り込んでしまうような、…
Albert Ayler(1936-1970,tenor sax)。もうこの人は大傑作「スピリチュアル・ユニティ」1964(画像2)に尽きる。ジャズの常識、音楽の常識どころかおよそ人間の作り出したものとは思えないサウンドに言葉を失う。一体サックスからこんな音が出るものだろうか?…
5年間で通算5回・合計10か月入院したが、昨年8月は盲腸炎なので精神入院は4回、うち1回は一時的な酒びたりで行かされたアルコール依存症学習入院だった。結局、予備軍のさらに手前だと判った。依存症になると常に酩酊しないではおれず、朝から晩まで途切れず…
Ornette Coleman(alto sax,trumpet,violin)。セシル・テイラー(ピアノ)と共にフリー・ジャズの創始者とされる人だが、マイルス没後は革新性を保った大御所の筆頭になってしまった。レパートリーは全曲オリジナルで、モダン・ジャズではモンク、ミンガスに匹…
ぼくが小説を読むのは、フローベールの「ボヴァリー夫人」1857で早くも田舎の開業医との結婚生活に倦怠を覚えた若妻が、食事の席で「エマ(若妻)はシャルル(夫)が舌で上唇の内側をまさぐるのを見て嫌悪感に堪えなかった」というような電撃的一行のためで、人…
ドルフィーは年間10枚以上の録音に参加しても生活はやっと、だが作品は素晴しかったことは前2回でも書いた。それでも晩年にはダンサーの婚約者がいて、ドルフィーの伝記ヴィデオで取材を受けていたが、還暦近いのにバレエ教室を開いて若々しく、独身のままド…
○コメントと断片より (1)1型の躁は2型より長いし強烈なんですよ。躁が続いている間は記憶障害や幻覚や妄想までいきます。で、躁が治まると重い鬱になって、躁の間は食事も睡眠もしないから鬱と共に肉体的衰弱もひどくなり、最後は救急車のお世話になるわけで…
ドルフィーは生涯2週間しか自分のバンドを持たなかったから(61年7月のドルフィー=リトル・クインテット)、生前に正規録音された自己名義のアルバムは12枚(それすら半数は死後発表)、発掘録音が30枚、サイドマン参加作が50枚になる。6年間でこれだけレコーデ…
もしも神すらも助けてくれなくても、という仮定には矛盾がある。否応なしに運命を握る存在が神の定義ならば「救い」には「見殺し」だって含まれるのは当然のことだ。と「フランツ・カフカ小品集」(本ブログ9月28日~10月25日)の編者としては火の気もない部屋…
Eric Dolphy(1928-1964,alto sax,bass clarinet,flute)。欧米より日本で生前から人気が高かったジャズマンがドルフィーで、遅いニュー・ヨーク進出(1960年・32歳)から早すぎる死(1964年・36歳・糖尿病)までドルフィーをメンバーに起用し、音楽的な親交を保ち…
内科の受診前に体重計に乗る。少し痩せた。72.2Kg。2週間で3kg減。S先生(船越英一郎似、と歯科衛生士さんは言う)は「中性脂肪がなかなか下らないねー。カロリー控えめにしなきゃねえ」 「それほど食べてもいないんですが」 「2年前は佐伯さん56Kgだったよ。…
コルトレーン最終回。たぶん全5回というのはこの連載でもこの人だけ。ロックへの影響でも、前時代のロックがブルース・ロック、サイケデリック・ロック、ハード・ロック、プログレッシヴ・ロック、ジャズ・ロックに発展する手本はこの人の音楽だった。コルト…
○コメントと断片より (1)おひさしぶりです。ほぼ一年前にいただいたリクェストにお答えしていませんでしたね。女流作家、中でも林真理子さんや山田詠美さんはエリートとして遇されている、というのが所見で、日本文化には女性エリート(巫女)を求める素地か太…
1964年4月と6月に傑作「クレッセント」を録音したコルトレーン・カルテットは、同年12月の2日間で伝説的アルバム「至上の愛」(画像1)を録音する。今回も全4曲オリジナルだがモノクロの沈鬱なジャケット(インパルスでは企画、タイトル、ジャケットはコルトレ…
筆者はYouTubeでPublic Domain(公共著作権、おおよそ制作から50年経過が目安)の映画を見るのが趣味だが、昔はミニシアターの自主上映会でもお目にかからなかった映画がてんこ盛りなのには喜びを通り越して唖然とする。見たい映画もたいして見たくない映画も…
コルトレーンのインパルス移籍は1961年で、契約消化のためにセクステットによるアルバム「オーレ!」を移籍第一作「アフリカ・ブラス」より後にアトランティックに置き土産にしている。どちらも注目されるのはオーネットから少し遅れてロサンジェルスからや…
○コメントと断片より (1)前作「破」から以前のテレビ版と離れた展開になってきましたからね。「Q」ではほぼ完全にオリジナル・ストーリーになるんじゃないかと思います。本来、四部作を年1本のペースで公開する予定だったのが遅れたのはそのせいでしょう。…
前回の3枚はプレスティッジ専属時代の名作で、リハーサルなしの3時間のセッション2回でアルバム3枚分を要求されたプレスティッジはスタンダード集になるが、さすがにデビュー作「コルトレーン」1957はリハーサルがあり(ただし自腹)、ちゃんとリハーサルにも…
押し入れから60冊ほどまとめて出てきた。列挙する。 【第一次黄金時代】探偵小説の世紀(アンソロジー)・思考機械の事件簿(J.フットレル)・ブラウン神父の秘密(G.K.チェスタトン)・ブラウン神父の不信(同)・ブラウン神父の醜聞(同)・アンクル・アブナーの叡知…